豊島逸夫の手帖

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カドロー新国家経済会議委員長はアンチ・ゴールド派

2018年3月16日

カドロー氏は米国経済チャンネルCNBCの名物コメンテーターだったので、市場では毎日のように見る顔だった(日本メディアはクドローと表現しているが、発音はカドローだよ)。

発言は穏健保守派。画面では若いキャスターに囲まれ好々爺的存在だった。

今回の転身直前にも「私は、保護主義以外はトランプ政権経済政策を支持する。」と明言していた。基本的には自由貿易派だったので市場の期待も高かった。

しかし、指名受諾後いきなり対中強硬発言を連発。市場はあっけにとられ、結局は「トランプ・チャイルド」かと落胆の声が聞こえる。

但し、対中強硬発言の部分だけが切り取られた感もある。少なくも、筋金入りアンチ中国派のナバロ国家通商会議委員長と同一視は出来ない。経済司令塔の国家経済会議委員長の後任候補には、ナバロ氏の名前も挙がっていたので市場には安堵感も漂う。

一方、外為市場が気になるカドロー語録としては「ドルを買い、金を売れ」。基本的に準備通貨としてのドルへの信認低下を懸念するドル高派なのだ。

ムニューチン財務長官ほどの影響力はないが、メディア露出は多い人物ゆえマーケットへ話題を提供することになろう。

それにしても、金は好き嫌いがはっきりする商品だね。金支持派はメディアでGold bug(金の虫)と表現されることが多い。確かに偏執的金愛好家もいるが、殆どはまともな人たちだ。金融界でもアンチ・ゴールドは多い。著名な株アナリストが、私の金についての原稿を取り上げ色々批判してくれたこともある。ただ、金の知識は素人並み。いかにも一夜漬け的な議論だった。それなりに評価していた人物だっただけに、株についてのその人物の議論の信ぴょう性も疑ってしまった。メディアでも財務省と金は「体制の象徴」みたいな批判的論調に出くわす。

それから、米国で開催中の仮想通貨国際会議で「来たるG20会議で、日本の財務大臣が仮想通貨規制を提唱することが懸念されている」という話。あのーーうちの財務大臣はちょっと揉め事があって、今回のG20には参加できないのですけど~~(笑)。

そして、日本株関連。

海外投資家3月1週まで9週連続売り越し。累計7.8兆円。但し、ヘッジファンドのような短期売買が主体なので、通年だとそんな累計にはならない。2017年あれだけ「外国人買い」と騒いだけれど、通年では僅か7532億円の買い越しだよ。買ったけど早々に売り戻されたから。今年もこれまでの売り越し累計が7.8兆円と言っても、いずれ買い戻され数千億円程度の売り越しがせいぜいではないかな。それに比べ日銀の株ETF買いは買いっぱなし。累計も2017年で5.9兆円。これはボディーブローのように効くね。

さて、来週はいよいよ21日日本時間深夜にパウエル新FRB議長デビュー戦のFOMC記者会見。22日午後1時25分から日経CNBCに生出演して今後のマーケットへの影響を語ります。

最後に今日の写真はマガーリ@洗足池のツブ貝イタリアン風。ツブ貝には目がない私。寿司ネタでは必ず頼む。イタリアン風もシェフの手にかかるといい味だすね~~。

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2018年