豊島逸夫の手帖

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時ならぬトルコツアー・ブーム

2018年8月15日

やっぱりと思いましたよ。ロイター電の現地イスタンブール写真でルイ・ヴィトンのショップに外国人観光客たちが群がっている。年初から4割も通貨が暴落するなど、小国ならいざ知らず、トルコのような普通の国では考えられないことですよ。単純計算すればイスタンブールで4割引きで買えるということですが、店側も当然小売価格を改定します。でもリラ暴落があまりに急ピッチなのでそれが追いつかない。

私もギリシャ危機の時アテネを訪問して現地通貨安の恩恵を享受したことを思い出します。ギリシャはユーロ圏なのでユーロ安の恩恵。ですからギリシャに限らず欧州ツアーが激安でした。1ユーロ=96円で両替できたのを覚えています。アテネの治安もミラノ・パリ・ロンドンに比べ変わらない。デモ騒動といっても東京の霞が関で行われているような感覚で、現場に近づかなければ、ここが財政破綻国かと思うほど普通でした。一流ホテルの料金が東横インより安いとブログに書いたのを覚えています(笑)。
アテネにせよイスタンブールにせよ、火事場騒ぎの街を狙って旅行するのは大概まずロシア人。そして中国人。あとは近場からアラブ系。私も行く先々で中国人に間違われました。

一方、現地で金の需要はどうかと言えば、ドル建てNY金価格は急落して1200ドルを割り込んでも、トルコリラ建て金価格は急騰。割安感がないので売れません。新興国の現物買いは徹底したバーゲンハンター。長期保有なので安値拾いに徹しています。これは日本でも同じことですね。

因みにトルコ通貨危機の「伝染」現象として、インドルピーが対ドル過去最安値更新。その結果、1200ドルを割れてもインドの金現物需要は盛り上がっていません。これも金安の一因です。なおインドはトルコと異なり、エルドアン大統領のような独裁者が経済政策に口出しすることはありません。外貨準備も4000億ドルを超え潤沢です。それでも経常収支赤字が増加しているのでルピー安になっているのです。その要因は原油高。インドは一大原油消費国ですから。

新興国経済と言っても一括りには出来ません。国別に選別が必須です。

なお今日の日経朝刊商品面に金1200ドル割れの記事が載っています。

2018年