豊島逸夫の手帖

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米中接近の兆し

2018年8月17日

昨日中国が米国に通商担当者を派遣との報道が流れ、いよいよ中国も貿易戦争疲れで米国との対話再開に動いたかとの観測を呼び、株価が反発する局面がありました。

しかし市場の反応は懐疑的。

まず担当者と言っても、やや低い地位の人物。

形だけ米国と融和の姿勢を見せて、上海株・人民元下落に歯止めをかけようとの本音が透けます。

更に深読みすると、北戴河というリゾート地で毎年開催される長老たちと現政権の対話の場で、習近平氏がお灸を据えられた様子なのです。強硬すぎる米国への姿勢が貿易戦争を招き、中国人民がその痛みを感じるようになったという御叱りです。そこでジェスチャーだけでも対米対話再開のポーズが必要なのでしょう。

なお最近は「中国製造2025」ハイテク産業育成プロジェクトや、一帯一路に関する言及が公のメディアで減ってきています。これも「あまり先走るな」という長老たちの意向に沿った動きなのか。様々な観測を生んでいます。

習近平一極集中がやや揺れていますね。

株価はやや持ち直しましたがNY金は変わらず。プラチナ・銅などの産業メタルは米中接近の報道でやや買い戻されています。コモディティーと通貨の二面性を持つ金と純粋なコモディティーのプラチナとの差です。

なお本日日経朝刊商品面に「反米国」メタル=金という記事が載っています。

2018年