豊島逸夫の手帖

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利上げ前夜、「反対」の大合唱、FRB四面楚歌

2018年12月19日

まず今日の東京市場の話題はソフトバンク上場。ここのところ孫さん、ちょっと読み違えが目立つ印象。個人的にはああいうアントレ・タイプは応援したいし好きだけどね。

ソフトバンク上場が日経平均2万円割れの引き金引く予感も。

さて今日の本文。

トランプ大統領とウォールストリートジャーナル紙が期せずして12月利上げ反対キャンペーンを張っている。

WSJ紙は「今はFEDが休む時」と題する社説で「FRB中立金利がどの水準にあるかについては、我々もFEDも分かっていない。パウエル氏は金融政策運営を暗闇の部屋を手探りと語ったが、そうであればゆっくり歩けばよい。米中貿易戦争も今後の展開を見極めてから来年動けばよい。」と論じた。「インフレ懸念はない。金価格が上がっていない。」とも引き合いに出されている。

それに呼応するかのようにトランプ大統領は「FRBは今日のWSJ紙社説を読め。FRBは再び過ちを犯すな。」とツイート。

本欄既報のように、カリスマ投資家グンドラック氏も利上げするFRBのことを「suicide mission=特攻隊」と表現している。

12月17日のWSJ紙でも、カリスマ・ファンドのドラッケンミラー氏とウォーシュ元FRB理事が「FED引き締め?今は時に非ず」と題する共同寄稿で利上げ反対論を展開した。

これで12月利上げは先送りされるとは思えないが、パウエル氏は反対論渦巻く中で実質的にクビをかけた如き背水の陣で臨むことになる。

筆者は同情に値すると思う。

そもそもバーナンキ元FRB議長が有事対応として始めた量的緩和政策(QE)。カネをばら撒くのは簡単だ。継いだイエレン元FRB議長はその後始末、即ちゼロ金利からの脱出と膨張したFRB総資産の削減という「金融正常化」の道筋をつけた。そしてパウエル現FRB議長は世界経済成長鈍化の環境で、ばら撒いたマネーを回収する量的引き締め(QT)を実行するというかなり損な役割を果たさねばならない。だから同情に値する。何せ量的緩和そのものが非伝統的金融政策で「壮大な実験」とされた。その上で量的引き締めは荒海で海図なしの航海を強いられる。前例もなく政策効果は未知数だ。薬に例えれば過少投与か過剰投与のリスクがある。

先述のトランプ・ツイートでは「500億を止めろ」と語られている。これは来年から本格化する予定のFRB資産(500億ドル)圧縮プログラムを指すと解釈される。いまFEDウォッチャーの間で熱く議論されていることを、おそらくカドロー国家経済会議委員長あたりが入れ知恵したのかと筆者は勝手に推測している。

確かに毎月日本円換算で5兆円(年間では約60兆円)ほどを市中から回収した場合の引き締め効果に関する実例の資料は皆無だ。初の試み、否、賭けに近い。

イエレン氏が設定した月間資産圧縮量のペースを市場は織り込んでいる。

それゆえ圧縮量が変更されると、量的緩和を縮小すると発言しただけで市場が大混乱に陥ったバーナンキショックの再来も懸念される。

利上げとQTの二面作戦はFRBに危険な綱渡りを強いる。

日本とて他人事ではない。いつか日銀も直面必至の問題だ。その予告編を2019年にかけて見守ることになろう。

今日の写真は毛ガニ。寿司屋で供されたが、実は私はカニに無関心。決して嫌いではないしおいしいと思うよ。だけど値段に見合うかと言えばどうかな。だから私みたいな感動しない人が食べるより、カニ大好き人間が食べる方がいいと思う。そうでなければ勿体ないよ。同じくフグ、マツタケも嫌いじゃないけど感動はしない。安くないから勿体ない。グループの会食なら好きな人にお皿を譲る。

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2018年