豊島逸夫の手帖

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明けましておめでとうございます!

2018年1月4日

新年早々、金は1300ドル突破、日本株に至っては日経平均700円超の急騰。いやはや、これぞ過剰流動性相場というような展開ですね。2018年は世界的に量的緩和幕引きの年。でも、ばら撒きを縮小・停止しても、ばら撒かれた巨額のマネーが世界中を徘徊しているのです。株と金の同時高はその象徴的現象と言えるでしょう。

それにしても、金は私が想定していたレンジの上限を早くも突破しました。「スピード違反」というか、やや上げピッチが早すぎますね。正月の楽しみをもっと取っておきたいもの()

背景として、金融政策要因としてのドル安は勿論ですが、イラン情勢が緊迫して原油・金同時高になっています。

イランは核合意で経済制裁が解除されても国民の生活が良くならず、民衆の憤懣が現政権へ向けて爆発しています。インフレ率も失業率も10%超え。ロウハニ現政権の強圧的対応も国民の反感を買っています。トランプ大統領も反乱する人民側を応援するなど、ちゃちゃを入れています。

私は2018年の地政学的要因として、ティラーソン国務長官辞任とイラン情勢を挙げてきました。日経マネー金対談でも「具体的に言うと、ティラーソン辞任でイランが一方的に核合意を廃棄、イラン独自で核開発を再開する。それに対抗してサウジアラビアも核に手をかける。イスラエルもここぞとばかりにイランに攻め入る。となると、ペルシャ湾を挟んで、スンニ派とシーア派の対立も含めて、中東情勢が一気に悪化する。原油と金が同時に上がるというシナリオも考えられる。僕がさっき1325ドルって言ったのは、これ。」と語りました。金市場の歴史の中で、イランは時折、金急騰のキッカケとなってきた国です。因縁めいたものを感じています。

但し、地政学的要因による価格急騰は長続きしません。持続的要因としては、やはり米国経済・金融政策要因が重要です。

2018年