豊島逸夫の手帖

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有事の金、シリアよりロシアに注目

2018年4月16日


週末にロンドン発外電で筆者のコメントが流れたので欧米市場の旧知の連中からの電話が早朝からひっきりなしである。

ロンドン発ロイター電↓


https://uk.reuters.com/article/uk-mideast-crisis-syria-markets/oil-gold-to-gain-on-syrian-strikes-russian-retaliation-in-focus-idUKKBN1HM0JQ?il=0


結局シリアもトランプもロシアも次の一手が読めず「経過観察」として売買を手控える姿勢が目立つ。現状は気配値程度に見ている。


彼らとの話題は大谷選手の方が多いほどの印象だ。但し、大谷選手は知っていても森友も日米首脳会談も殆ど知らない。これが実態だ。日本のメディアに登場する「外国人投資家」は一握りの日本株保有者・担当者そして知日派が多いことを実感する。


シリア情勢についてはリスクが後退したわけではなく、ロシアとイランの対応を見極める段階だ。ロシアの国防省はS300防衛ミサイルのシリア向け補給を見合わせていたが、実行に踏み切る姿勢を見せている。アサド大統領のロシア訪問も取り沙汰される。イランもロシアとの協力を強化する姿勢をちらつかせる。


対して米国側は追加経済制裁の発動を明言した。

引き続き米ロ冷戦の如き状況が続きそうだ。


一方、米国内ではモラー特別検察官のロシアゲート捜査が核心に迫りつつあり、トランプ大統領もモラー氏解任を示唆している。自身の女性スキャンダルの実態が今週発売の前FBI長官コミー氏の回顧本で暴露されると、事の真偽はともかくトランプ氏の心象は悪くなる。中間選挙も共和党内まとめ役のライアン下院議長引退で苦戦が伝えられる。追い詰められたトランプ氏がロシアに対して外交官追放以上に強硬措置に出ると、ロシアも黙ってはいまい。シリア攻撃はパンドラの箱を開けた感も漂う。


北朝鮮問題、米中貿易摩擦にシリア情勢が加わり、5月にかけマーケットの騒擾が続きそうだ。


金に関してはシリア攻撃は織り込み済み。今後のロシア・イランの対応が悪化すると本格的買いが入ることになろう。当面1340ドル前後で推移している。様子見である。

そもそも有事の金という表現は米ソ冷戦時代に生まれた言葉なので、米ロ冷戦ともなると有事の金復活の可能性もある。イランもイランの米国大使館人質事件・イラン革命など歴史的に金高値の要因になってきた経緯がある。それだけに金市場は重く受け止めている。


さて、土曜朝いきなりシリア開戦の報でお休みモードが一転騒がしくなった。その中で京都から旬の筍が届き早速筍料理と、これも旬のアサリの味噌汁。京都は大原野の筍。三千院の大原ではなくて長岡京の方向にある筍産地。至るところに筍畑が散在する地域。大原野の筍は特に白くて綺麗で美味。京都の親友の紹介で知り合った。今年はとにかく時期が早かったね。そしてとびっきり旨い。昨年不作だったので裏年から表年になった感じ。殺伐としたマーケットの渦中で癒されました。


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2018年