豊島逸夫の手帖

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中国は「習王朝」時代到来

2018年3月5日


中国全人代が開幕した。今年は会期が16日間と異例の長さ。憲法改正で国家主席の任期制限をなくす手続きがあるからだ。

「世論、そして人民の声に耳を傾けた結果、多くの地域、党分野で憲法改正が全員一致で支持された。」とのプレスリリース。何とも白々しいが、これが中国流。あからさまな習近平国家主席への権力集中、長期政権狙いだ。更に習氏の盟友である王岐山前政治局常務委員が国家副主席に就くとの観測も流れる。周辺もがっちり固めようとの思惑が透ける。


そして人事では、王外相の去就が注目。楊国務委員が外交担当副首相に昇格との観測が流れる。マーケット関係では周小川中国人民銀行総裁の後任が重要だ。


軍事予算も国防費が17兆円を超える。2000年に比べ10倍のハイピッチ。「海洋強国」がキーワードだ。2030年までに4つの空母打撃群を運用する予定とされる。


安全保障のみならず資源確保も重要な戦略だ。
例えば、中東から原油輸送の要衝マラッカ海峡は幅が70キロ程で浅瀬が多く、ペルシャ湾ホルムズ海峡と同様に容易に封鎖されるリスクがある。そこでパキスタンのグワダル港建設を金銭的に支援して、中国北西部をパイプラインと鉄道で結ぶ計画をぶち上げ、ミャンマーと雲南省を結ぶパイプラインも開通している。

なお経済面では、今年財政赤字の対GDP比を3%から2.6%に減らす計画だ。加えて地方自治体の巨額債務減らしにも本腰を入れる。特にPPP〔パブリック(官)・プライベート(民)・パートナーシップ〕の名を借りて、実質的な政府保証を付ける融資が槍玉に挙げられそうだ。このような「抜け穴」がこれまで中国の大型インフラ投資をファイナンスしてきた経緯がある。習近平国家主席は、地方自治体幹部の人事考課に「債務削減」も考慮すると言う。IMFによれば中国の地方債務はGDPの47%に達する。特に「融資平台」という地方政府傘下の投資会社の存在が、シャドーバンクとの繋がりも含め問題視される。


金市場にとっても中国は世界最大の金生産国且つ金需要国ゆえ、全人代の動きから目が離せない。


そして今日の旨い物写真。
越後湯沢駅構内のイタリアンで自家製のポークパテ。そして地元の鱒のスモークをトッピングしたピザ。野菜もたっぷり。従業員もキビキビしており気に入っている。春スキー帰りに町営山の湯(越後湯沢温泉の源泉)に浸かり、おいしいイタリアンを食べて、帰路の新幹線内ではネット関係を完全にOFFにして爆睡(笑)。


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2018年