豊島逸夫の手帖

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トランプ氏、対日貿易宣戦布告か

2018年9月7日


「日本とは良き関係を築いてきた。勿論、彼らが私達にどれだけ払わねばならないかを語れば直ちにそれは終わるだろう。」
ウォールストリートジャーナル紙のコラムニストへの発言として報じられた。「北米、欧州の友人たちと通商交渉を終えても、それで終わりというわけではない。日本との交易条件を気にしているようだ。」と同コラムニストは書いている。
外為市場では昨晩111.30台から110.80台にまで円高が進行したが、この報道も材料視されている。


市場が神経質になるのは、メキシコとの通商交渉で「為替条項」が入ったとされているからだ。これが前例となり日本にも提示される可能性が危惧されている。


一般的に、米財務省による「為替操作国」の基準は
①貿易収支の規模が、年間の対米黒字額が200億ドル以上
②経常収支の規模が、年間黒字額が対GDP比で+3%以上
③継続的な為替介入による一方的な外貨の買い入れが過去12か月間でGDPの+2%以上
の3点とされている。
日本は貿易収支と経常収支の2点に抵触して「監視対象国」と認定された。


折りしも、5日に米商務省が発表した7月貿易収支では対日貿易赤字が前月比2.9%増の54億6千万ドルになった。
11月には財務省が議会に「為替報告書」を提出する予定だ。
外電とのインタビューでは「為替操作の判定基準を検討中」とも語っている。


このような状況下、しかも中間選挙を意識した発言が連発されている時期ゆえ市場も無視できない。
トランプ政権現職高官が匿名で米紙に寄稿して「内部告発」。その後、各幹部の「私ではない」との否定発言が相次ぐおり、火消しにやっきになっているトランプ氏が選挙民の目を外に向けさせる意図も透ける。

2018年