豊島逸夫の手帖

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ソフトバンク株価、NYの視点、実力は800円程度?

2018年12月19日

昨日NY時間に彼の地の証券アナリストたちにソフトバンク上場の話題を向けたところ、EV/EBITDAをベースに妥当価格は総じて700円から800円前後という数字が返ってきた。公開価格は1500円だ。

配当利回り5%については、ボーダフォン、AT&Tなどに比し低いと言う。5%が維持できるのかという疑念も呈された。スマホは成熟商品。楽天参入による競争激化。突発的にファーウェイ機材を基地局で入れ替えという事態も発生した。上場直前には通信障害事故が生じた。そもそも株式市場の地合いが極度に悪化している。NY株が12月としては1931年以来という下げ幅を記録中だ。ソフトバンク上場が日経平均2万円割れなどに進行するキッカケと読むファンドもあった。

出来高を見ても約2億6千7百万株という大商いではあったが、空売りを含めてその大半は寄り付き後15分程度に集中している。超短期筋の高速度取引が売買を圧倒した。午後の出来高は数千万株の単位だ。結局賑わいは朝方15分のプロ空中戦の時だけであった。

なお昨日、駅前でハッピ姿の証券会社社員たちがソフトバンクのパンフを配っていた。近くでは格安スマホ販売員たちが声枯らしての売り込み合戦。

「証券会社の体質は昔と変わっていないな」と感じた。24時間後のソフトバンク上場に危うさを感じた瞬間でもあった。

ソフトバンク株を購入した顧客に対して、公開価格1500円を割り込んでも「なしのつぶて」という事例も少なくないようだ。こういう時こそ顧客に寄り添う営業姿勢の証券会社との差が鮮明だ。

ノルマ達成のためと営業員に頼まれお付き合いで買ったが、初値で売却した事例も少なくない。

様々な教訓を残したソフトバンク上場初日であった。

2018年