豊島逸夫の手帖

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金にも新規マネー流入

2018年10月24日

出遅れていたが、これだけ株価が異常に乱高下すると、さすがに金への逃避マネー流入が顕在化してきた。1230ドル台へ徐々に価格水準を切り上げている。対して安全通貨としての円買いが思ったほどは進行していない。相場は生き物。刻々状況は変わる。無理に理由付けを試みても虚しい。

さてサウジマネーのブランドイメージが堕ちている。

「このプロジェクトにはサウジアラビアからのオイルマネー出資も見込める」

サウジアラビアの金銭的参加は安定的支援と見做され企画書にも強調されたものだ。

あのテスラもサウジマネー出資を模索していた。

カネの出どころは多くの場合PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)だ。ソフトバンクの10兆円ファンドにも出資している。運用総額30兆円相当以上とされ、ムハンマド皇太子の「ワンマン運用」だ。脱原油の長期的国家戦略実現のために欠かせない原資でもある。

そのブランドイメージが急速に失墜している。

「サウジマネーはダーティー(汚れた)マネー」扱いされ、特に先進国ではSRI(社会的責任投資)の観点から忌避の傾向が強まりそうだ。

「砂漠のダボス会議」と称される現在開催中のサウジ経済フォーラムには、スポンサーとしてマッキンゼー、PWC、デロイト、ベインなどの有力コンサルティング会社が名前を連ねている。モルガン・チェース銀行やシーメンスのように参加見送りを決めた企業もある。

サウジマネー取り込みか企業イメージ優先か。踏み絵を前に参加企業の決断が揺れる。

サウジ側から見れば、出席か欠席か「真の友人」を見極める機会ともなった。敢えて参加を貫いたトタル(フランスのエネルギー関連大手)には声高に称賛の声を送る。総じてアフリカ・アジア勢の参加が多いようだ。

自国民の参加という「サクラ」を入れて「満席」とし、短時間ながらムハンマド皇太子が壇上に立った時にはスタンディング・オベーションになったという。

このような一連の報道が流れると、市場では保有ポートフォリオのサウジマネー「コンテンツ」を見直す動きが顕在化する。

なお、日本への天然ガス供給元としてのカタールの立場が益々危惧される。イラン寄りとサウジ側からレッテルを貼られ、村八分の状況が更に危うくなる。カタールとしては、最大の天然ガス油田を海底でイランと実質的に共有しているので離れられない仲だ。更にカタールには米軍重要基地もあるので米国の関与も微妙である。

サウジリスクは単にオイルマネーの保有株売却の可能性だけではなく根が深い問題を内包している。

さて今日の写真は京都駅八条口の辻利ほうじ茶ソフトを食べてご機嫌な私(笑)。ここのは本当に濃いのだ。試飲できる「壺茶」がよく合う。

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2018年