豊島逸夫の手帖

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株暴落、トランプ氏「FRBはクレージー」

2018年10月11日

日経平均が1000円を超す暴落。昨日のNY株暴落が世界同時株安連鎖を引き起こしている。

トランプ大統領も大慌て。中央銀行のFRBを「クレージー」と2回も連呼した。NY株急落について記者団から質問が飛び「FRBは間違っている。締め過ぎている。FRBはクレージーだ。株価急落は我々が長く待ち構えていたところだがFRBのやり方には賛成できない。」と語ったのだ。

一昨日も「FRBはやるべきことをやっている。しかし私は気に入らない。インフレは抑制されている。利上げは急ぐ必要はない。但し、この件につきパウエル議長とは話していない。私は関与しない。」とFRBの利上げを批判していた。とは言え、FRBの政治的独立性は尊重するとの発言で市場には安堵感さえ流れていた。

しかし、いよいよ中間選挙も迫る時期にNYダウ平均が800ドルを超す急落を演じたことに明らかに焦りを感じているようだ。株価をトランプ経済政策の通信簿(スコアカード)と位置付け、上がった時には自らの功績として自画自賛してきただけにFRBに責任転嫁したのか。

昨晩のNY株急落が残した最大の問題はトランプ政権とFRBとの間の軋轢であろう。ここまで強い口調で「禁句」まで飛び出してはしこりが残るは必至と見られる。

さて、問題のNY株急落についてだが特に新たな大きな要因が出たわけではない。あえて言えば、ムニューチン財務長官がFTとのインタビューで「人民元安は看過できない。」と語り、米中対話の悪化が材料視されたこと。そもそも米中冷戦状態が激化していること。米ドル長期金利が3.2%台まで急騰したこと(昨日は3.1%台まで反落した)。加えて原油価格の下落も重なった。これらの複合要因により売りが売りを呼ぶ連鎖が生じた。

テクニカルには膨張していたNY株買いポジションの巻き戻し。

特に中間選挙という大きな不透明要因を前に「身辺整理」的なポジション整理が見られた。

NY株式市場はこれから決算シーズンに入る。そもそも金利上昇は米国経済好調の証しでもある。それゆえこのまま下げ続ける市場環境ではない。

相場にはつきものの乱高下だが、トランプ大統領とFRBの間に「遺恨」を残したことが気がかりである。

そして金は、理屈で言えばここで上がりそうなものだが、株暴落となると心配で心配で金のことまで考える余裕もなくなる。逆に株が上がった方が余裕で金も買えるというのが投資家心理なのだよね。相場は理屈で割り切れないものだ。

仮に世界的株暴落の危機的状況になると、金も現金化して追証(先物取引の追加証拠金)支払い用に捻出するような切羽詰まった金売りが顕在化する。リーマンショックの時はそれで短期的に300ドルも下げた。しかしその後は安全資産として金が買われ始め、結局300ドルの下げを取り戻してお釣りがくる程の急騰になった。これ教訓だよ。

なお、リスク回避の円高が進行(世界で日本だけがドル安)、円建て金価格が安い。値ごろ感あり。

そして今日の写真は熊本荒尾直送のでかい梨。カードと比較すると大きさが分かる。猛暑のおかげで今年はひと際甘い~~。

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2018年