豊島逸夫の手帖

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日銀が大株主の企業名リスト

2018年6月27日

日銀が株ETFで購入した日本株の残高が25兆円を突破。今や日本大企業の大株主、或いは筆頭株主が日銀という事例が珍しくありません。

実はこの話、5月にNYでヘッジファンドたちと会った時に最も話題になったことなのです。欧米感覚では中央銀行が巨額の株を購入・保有することは禁じ手ですから。日銀が株ETF購入に踏み切ったのも、あくまでリーマンショック以降の有事対応が大義名分です。平時になればいつまでも保有・塩漬けして良いというものではありません。問題は25兆円もの巨額株式保有を如何に処分するか。まともに売ったら、或いは売るということを黒田さんが匂わせただけで日経平均は暴落するでしょう。私は日銀の買いで日経平均が4000円は上乗せされたと見ています。日銀なかりせば日経平均は未だ2万円以下だったでしょうね。振り返れば、連日午後2時を過ぎると兜町では日銀の買いが本日は出るかどうかが市場の大きな注目点になっていましたから。午前中に日経平均が前日比で下がると、午後2時以降に日銀が買い出動したものです。ですから株式市場もすっかり「日銀依存症」になっていました。

そして今、日銀の有事対応の禁じ手政策がそろそろ終了する、即ち出口を迎えるとの観測が市場にはくすぶっています。日銀金融政策決定会合後の記者会見でも必ず出口についての質問が出ます。黒田さんは強く否定して、物価が2%を大きく超えるまでは量的質的金融緩和政策を継続すると断言しています。しかし市場は疑心暗鬼。特に米国FRBは出口に既に突入。量的緩和は終了。利上げも始めました(だから金利のつかない金が今売られているのです)。続いて欧州ECBも年内には量的緩和終了、来年後半には利上げかとの観測が有力です。それに比べ我が日銀は周回遅れで出口はまだまだ先の話。と言ってもそろそろ黒田さんも来年には出口を意識せざるを得ないと私は見ています。

実は今週発売中の週刊エコノミスト「2018 下期マーケット予想 暗雲世界経済」の冒頭記事に私もコメントしています。更に5人のエコノミスト予測で諸々私の予想を開示していますから読んでみてください。年末の日経平均に関して、私は21500円と他の4人のエコノミストの平均予測24000円程度よりかなり低く見ているのも出口を意識してのことです。

米国経済については長短金利差縮小あるいは逆転の可能性が気になるとも述べています。この現象は好調米国経済の景気循環サイクルが最終局面に突入する可能性を示唆していると解釈されます。

なお私のツイッター@jefftoshimaに日銀の株式保有比率が高い主な銘柄リスト(日経作成)を載せたら大きな反響がありました。

銘柄名

発行済株式数の占める比率

アドバンテスト

19.3%

ファーストリテイリング

17.5%

太陽誘電

16.6%

TDK

16.0%

ユニー・ファミリーマートホール

15.3%

東邦亜鉛

15.1%

トレンドマイクロ

14.6%

コムシスホールディングス

14.1%

日産化学工業

14.1%

コナミホールディングス

13.9%

東京エレクトロン

13.1%

日東電工

12.7%

オークマ

12.2%

三菱倉庫

12.0%

京セラ

11.9%


読者の中には、えっ、うちの会社の筆頭株主が日銀だったのとビックリする人もいるかも。。。。他人事ではありませんよ。。。


なお週刊エコノミストのHPをクリックすると冒頭記事の筆者コメントを含め全文が読めます。↓

https://www.weekly-economist.com/

2018年