豊島逸夫の手帖

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相場短期大変動の教訓

2018年2月7日


日中に1000ドル、1000円単位で相場が変動することはいかにも異常だ。相場トレンドを決めるのはやはりファンダメンタルズだと語るのは易しい。しかし、初めて株式投資を始めた初心者からは「やっぱり投資って怖い。」との声が筆者のところにも寄せられている。セミナーでは常々「長期投資が基本」と説いてきたが、ここ3日間の相場変動はいかにも「心臓に悪い」。「短期的に投機的な動きには気をつけましょう。」と語っても虚しい。


NY市場では異常なボラティリティーを嫌って、個人投資家からヘッジファンドまで株式市場から資金を一旦引き揚げ様子見を決めこむ事例も見られる。
結局、コンピューターに人間が振り回された3日間だった。


恐怖指数VIXが注目されたが、VIX連動型のETFやETNのなかには、株価との連動が維持できずリコール(運用停止)に追い込まれたケースもある。VIX連動リバース型商品の場合は、株価変動が低いと儲かるが高いと損する仕組みだ。低ボラティリティーの時期にはもてはやされた商品だった。しかし、この数日で70%や80%という損失が出た事例もある。顧客にも販売側にも苦い体験となった。SEC(米国証券取引委員会)も規制強化に動くのではとの観測もある。


今後、短期価格大変動が頻発することも想定せねばなるまい。短期的には「余震」の可能性も残る。
AI投資が持て囃される市場は大きな課題を突きつけられた。


時あたかも、FRBではイエレン体制からパウエル体制へバトンタッチされた。パウエル新FRB議長は、いきなり市場の「お手並み拝見」とばかりの手荒い「挨拶」を受けた思いであろう。

イエレン氏は米CBS出演で「二期務められず残念。」と率直に語っている。もしイエレン氏が続投していたら、果たして今回の株価大変動は起きたであろうか。その主因とされる「米長期金利急上昇」の背景には、トランプ大統領の意志で任命された新議長への不安もちらつく。
金融政策の転換点にアルゴリズム売買・高頻度取引が市場を席巻する構図に、当面投資家は付き合わねばならない。


そして金価格は1320ドル台に下放れた。株で発生した損失を儲かっている金の益出し売りで補てんする動きだ。リーマンショック時にも見られた。これも「有事の金」の事例であろう。有事には金を売って凌ぐという意味だ。そのために平時から金を地味に買い増してゆくことを薦めている。


最後に、東北新幹線で見かけた山形山菜ポスター。山形の行きつけの店はシーズンになると20種類の山菜が供される。山菜ファンにはたまらない。山菜狩りも楽しい。山菜採り名人に師事して10年!私も今や、走る車の中から目ざとく「あ、たらの芽だ!」と見つけるほどに上達(笑)。ウルシに似ているから要注意。たらの芽は棘があるから軍手と(手繰り寄せるための)古いゴルフクラブが必需。自分で採った山菜を村の食堂で早速天ぷらにしてもらう。これがたまらん!アルコールには無縁の私も、この時ばかりは揚げたてに冷やしたビールが欲しくなるよ~。

2018年