豊島逸夫の手帖

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市場で米中貿易摩擦懸念再燃

2018年4月9日

先週鎮静化しつつあった米中貿易摩擦懸念が金曜日のNY市場で再燃。NYダウは500ポイント超も急落。日本時間午前3時台には750ポイントに下げ幅を拡大する局面もあった。

直接のキッカケはトランプ大統領が対中貿易赤字削減目標を更に10兆円ほど上積みしたこと。これは想定外だった。市場の動揺を抑えるためにムニューチン財務長官がテレビ生出演して「貿易戦争」に否定的な発言をしたが、最後に「貿易戦争の確率もある。」と述べたことだけが切り取られ、火消し発言が火に油を注ぐ結果になってしまった。冷静に考えれば貿易戦争に勝者は無く、米中共倒れのリスクもあるため、両サイドともにまともに喧嘩をする気はないと思われる。しかし貿易戦争の確率がゼロかと問われれば全く無いとは言えない。神経質な市場はそちらに反応してしまう。

これを受け、NY金は1322ドルから1335ドルまで急騰している(グラフの赤線が先週金曜日)。

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円相場は再び107円台前半から106円台後半にまで円高に振れたが一時のような円急騰にはならない。市場の円高ムードは一服か。

株式市場では短期投機筋の売り攻勢というより買い注文は極端に減った感じだ。海千山千のヘッジファンドも当面はキャッシュポジションを増やして様子見の姿勢である。それほどに連日NY株のボラティリティーが激しいということ。異常だ。

2018年