豊島逸夫の手帖

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いよいよ米中貿易戦争、勝者なき市場

2018年3月23日


米中貿易戦争懸念で急落したNY株式市場では、関税で保護されるはずの鉄鋼株まで売り込まれた。中国の報復リスクが意識されている。発動時期、対象品目など未だ明らかではないが市場は不透明性を嫌う。


更に株下落要因としてフェイスブック個人情報流出問題が挙げられる。米大統領選挙介入疑惑を誘発して政治スキャンダル化の様相だ。トランプ大統領弁護士離脱の報道もトランプリスクを刺激した。FRB利上げペースについても、依然2018年3回か4回か市場の見方は割れている。


そしてNY株急落を受けた東京市場でも日経平均が900円の下落。中国が米国に対抗関税を準備、豚肉などに最高25%の関税上乗せ。更に米鉄鋼輸入制限が発動して日本も対象国とされた。米中貿易戦争の流れ弾に当たった感じだ。


外為市場では104円台まで円高が進行。
日本株セクターでは「とばっちり円高」が株の下押し要因となる「負の連鎖」が絶ち切れない。
政治要因としてトランプリスクとアベリスクが共振すると、短期的には日経平均2万円割れの可能性も出てきた。


NY金は1330ドル台で引き続きレンジ内の動き。上か下か方向性に欠ける展開だ。


昨日は日経CNBCに生出演して、2018年度株為替見通しについて話した。日経平均19000円まで下落、105円超えの円高も覚悟との予測だったが、翌日に早くも現実味を増すとは思わなかった。

2018年