豊島逸夫の手帖

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急変、米利上げ観測

2018年12月17日


今週の注目イベントである米国FOMC。 金利を生まない金市場にとっても、株式・為替・債券市場にとっても最大関心事。
今月12月利上げは織り込まれたが、来年の利上げ回数に関しては市場で見方が割れる。
選択肢としては、ゼロ回、1回、2回、3回。
最新のブルームバーグ・データでは、1回、ゼロ回、2回、3回の順になっている。
とは言え、一位の1回でも確率は4割に満たない。


筆者の注目点はこの1か月の推移だ。
1回とゼロ回の「トップ集団」が2回と3回のグループを大きく引き離している。
トップ集団の確率が3割台、2回が1割台、3回は大きく差がつき、確率ゼロに近い水準だ。
トップ集団の間ではこの1か月で首位が入れ替わった。1回がゼロ回を追い越しているのだ。総じてこの1か月で確率が上がったのは1回だけ。あとは全て「急落」している。


さすがに利上げ無しとなると米国経済過熱放置の可能性は捨てきれない。インフレ指標は伸び悩みと言われるがとりあえずFRBの目標値2%台は確保している。ISM製造業景況感指数も60の大台は維持できている。
一方、3回となると締めすぎのリスクが懸念される。世界経済成長鈍化傾向が顕著な中で「アメリカ・ファースト」=「アメリカ・オンリー」即ち米国だけ成長を享受できることは能わぬ。
そこで来年は利上げ1回が無難な予測値として浮上しているのだろう。


皮肉なことに連日続く米国株価大変動が利上げ阻害要因となり、結果的に来年の株価見通しにはプラス要因とも見られている。ヘッジファンドよ、もっと暴れて年末の相場を荒らしてくれ。我々は座して待つ。これが一般投資家の本音かもしれない。

現状のNY株式市場では何でも売り材料に仕上げてしまう傾向が顕著だ。
「良いニュースは悪いニュース」。経済指標が好転すれば利上げ観測上昇を囃し、売り要因とされてしまう。
しかし、ひとたび市場センチメントが改善されれば「良いニュースは良いニュース」とされ、一転「素直」な解釈となる。


このセンチメントを変える要因がパウエルFRB議長だ。派手なトランプ・ツイートには辟易して無視を決め込む傾向が強いが、地味だがパウエル氏の発言となると行間を読む、あたかも英文解釈の如き様相となる。中立金利から「遠い」が「近い」に変わるだけで先述の利上げ確率急変を誘発する。パウエル発言の形容詞・副詞ひとつがダウ平均1000ドル以上の変動を誘発する。
パウエル氏は実務家だ。イエレン前FRB議長とは言動が異なる。「行動」面では、共和党・民主党議員たちとの会食などの接触回数が、就任8か月で共和党議員33回、民主党議員24回、イエレン氏は同期間で13回とウォールストリートジャーナル紙は報じている。確かにトランプ大統領の執拗なまでの利上げ牽制発言に対して、議会内ではパウエル氏擁護・中央銀行政治的独立性重視の発言が目に付くようになった。かくして「根回し」は細やかだが発言は簡潔な表現が目立つ。上記の「遠い」「近い」が典型だが「緩やかな利上げを続ける。」と語った後に一息おいて「当面は=for now」と何げなく言い足し、市場を煙に巻いた事例も印象に残る。


先生が生徒に噛んで含める如く丁寧に説明した純粋なエコノミスト・イエレン氏の時代は「FEDに逆らうな。」と言われたものだが、パウエル時代になり「FEDを疑え。」と変わっている。
それゆえ市場のボラティリティーも急上昇している。
NY金はやはり1250ドルは維持できず、利益確定売りに押され1230ドル台。


さて、実は私の最大関心事は利上げよりガーラ湯沢の積雪量(笑)。ここ数日でだいぶ降ったみたいだけど。目下、御用繁多で行けず(涙)。 私は何のために仕事してるのか、冬スキーがモチベーションではなかったのか。仕事してる場合じゃないだろ!(笑)。ただ、乗りかかった船が今年はやたらと大きいので船から一人飛び降りるも叶わず~~~。


先日聞いたジョーク。救命ボートが人員オーバー。船長はなんと言って乗客を海に飛びこませるか。イタリア人、美人が泳いでまっせ! ドイツ人、規則ですから。イギリス人 紳士なら飛び込むでしょう。日本人、皆さん飛び込んでますよ~~。


今日の写真。


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富山で友人のハンターが獲った鴨。筋肉しっかりの若鴨で、噛めば噛むほど鴨肉の旨さがジワリと出てくる。中には弾丸が入っている肉もある。野性味。

2018年