豊島逸夫の手帖

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金1940ドル台に続騰

2021年1月5日

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ドル不安とコロナ世界的悪化を受け、国際金価格は年明け1940ドル台まで上昇を続けている。ドルインデックスはそれほど大きく下落していない。ドル円も102~103円台で行ったり来たり。それでもドルへの信認は薄れてゆく。トランプ大統領は未だにホワイトハウスから「大統領選挙無効・不正」のメッセージを発し続けている。ジョージア州の大統領選挙集計責任者に、なんと18回も電話して「あと11,780票を探せ!それで覆せる!」と恫喝した。その電話会話が録音され暴露された。いかにも気の弱そうな共和党員の担当者に一方的に喋りまくっている。その内容は支離滅裂で、もはや一老人のヒステリー現象としか言いようがない。恐縮しまくっている担当者が「大統領閣下、貴殿の仰ることは事実と異なります。」と答えるのがやっと。それでも未だに米国民の半分近くはトランプ大統領支持で、あの大統領選挙には不正があったと信じている。まさに「分断された国」。「合衆国」とは名ばかり。トランプ大統領の次期大統領選でのリベンジが現実味を持って真剣に議論されている。

そのような国が発行した通貨が本当に信じられるか。

足元では、本日5日にジョージア州上院決選投票で2議席を民主党が取ると所謂ブルーウェーブ。ネジレ議会が解消され、民主党がホワイトハウスも議会両院も制する。民主党の超大型リフレ政策と法人増税が議会を通る可能性が強まる。株売買益に39%課税も盛り込まれ、株価には嫌な材料になる。金には追い風になる。年明けの金急騰はこのシナリオの先取りかもしれない。

なお、プラチナの乱高下も派手だ。

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ドーンと1100ドル突破したかと思えば、ドーンと急落。こういう投機的動きに揺さぶられるので、プラチナを一般個人投資家に素直に薦める気にならないのだよ。心臓に悪いでしょ。まぁ自称「ツワモノ」の人なら何も言わんけど。今、テーマ性のある材料として注目されている水素系のストーリーには話題性がある。水素の生成に使われ、脱炭素化に伴う将来の需要は非常に興味深い。とは言え、まだまだ未来の話を今から価格に織り込んでゆくのは「投機」。いつまでも「夢」や「期待」だけで相場は持たない。パラジウムみたいに「2000ドル」を超える可能性はあると「私は」思っているが、その価格形成プロセスはかなり荒っぽく、堅気の衆に耐えられるものか。地味に買い増し、買ったら忘れるくらいの気持ちになれるならいいけど。プラチナ買って、タイムカプセルに埋めて20年後に取り出すとお宝になっているか、浦島太郎の玉手箱になっているか。個人的にプラチナディーラーもやってプラチナに思い入れが強いので主観的になりやすく、うっかり薦められないという自制が働いている次第。因みに、スイス銀行のトレーダーを辞める時、スイス銀行チューリッヒ本店から「記念の品」として贈られたのが1オンスのノーブル・プラチナ・コインだった。プラチナで頑張ってくれたということで。私の宝物。2000ドルになっても絶対売らないよ(笑)。その後ワールド・ゴールド・カウンシルに移籍して、日経の「私の一品」というコーナーに出た時、プラチナ・コインを持って登場した。その当時、金とプラチナはライバル関係にあったので社内でえらく非難されたものだ。狭い業界の常識、世間の非常識(笑)。