豊島逸夫の手帖

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最新のNY金市場の話題とは  

2021年1118

最近NY金市場のゴールドトレーダーたちとZoomで対話していると、金価格関連で頻繁に「ロサンゼルス港の渋滞状況」が話題になる。中国から米国向けの大量のクリスマスギフト商品が同港沖に渋滞中の多数のコンテナ船内にある。米国内の小売り業者は気を揉む。果たしてクリスマス商戦に間に合うのか。もうネット経由では発売中の商品もある。ロサンゼルスからの国内輸送もトラック運転手が足りない。

最新の状況では渋滞のピークは過ぎたようだが、本格回復には未だ数か月かかりそうだ。米国西海岸の大型港湾には未だに80隻のコンテナ船が沖で順番待ちという。中国から米国西海岸へのコンテナ運賃は足許で26%下がったものの、それでも約1万3千ドル。年初は4千ドルだったという。振り返ると7月がピークで、数週間で70%も急騰したという。

何故このような話題が金市場で語られるかと言えば、結局「インフレ傾向が何時まで続くのか」ということが、「いつまで金高騰が続くのか」の答えになるからだ。今のインフレは一過性と言われるが、具体的に数か月なのか、半年以上なのか。特に今金が高騰しているのはインフレヘッジのため、主として先物主導で買われているからゆえ、あれこれ先読みされることになる。

更に、人件費(賃金)上昇もインフレの要因なので、コロナから回復の過程で人手不足となり、賃金が引き上げられる傾向が何時まで続くのかということも重要だ。

そこで米国最大の従業員数、約180万人を抱えるウォルマートの雇用状況もNY金市場で話題になる。今週の同社決算発表で同社CEOは人手不足が解消に向かっていると語った。しかし人件費などのコストは上昇したので、同社は減益となり、同社の株価は下がった。今後の同社の課題はコスト増を消費者にどこまで転嫁できるかということ。米国消費者はコロナ自宅待機期間にしこたまカネを貯め込んでいるので、少々の値上げでも購買意欲は衰えないとの見解もある。

このようにNY金市場では具体的にインフレ継続について議論が交わされているのだ。

因みに中国の来年の春節は2月1日。それまでに中国からの輸入品価格上昇はピークアウトするので、そこが金価格の高値になるとのうがった見方もある。米中対話で関税が引き下げられるかという点も見逃せない。

もちろんインフレ傾向はマクロ的に広範に亘る。それゆえ金市場の話題も多岐に亘る。全体像が掴みにくいので、ここが投機筋の付け入る隙になっているとも言える。それゆえ筆者は金価格の短期変動に一喜一憂するなと説くわけだ。

なお、パウエルFRB議長が再任されるか否かもやはり問題視される。

この点が決まらないと筆者も実に困っている。紙媒体向けの原稿で締め切りが今週末という事例では、FRB議長の名前をパウエル氏と決めつけて書くと万が一のリスクがあるからだ。かと言ってFRBの話題抜きで金価格は語れないしね(苦笑)。バイデンさん、早く決めて!

今日の写真は週末の富士山麓にて。御殿場では男子ツアーの太平洋マスターズが開催中であった。例年より実に暖かい気候だ。

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2021年