豊島逸夫の手帖

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テスラ社、金地金・金ETFに運用拡大方針発表

2021年2月9日

金、プラチナ、銀、いずれも急反発。
金価格はKITCOグラフの緑線が最新24時間の動き。

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昨晩はテスラ社が運用方針を拡大して、ビットコイン購入を明示して話題となったが、同時に「金地金、金ETF」も買いの対象とすると発表した。

更に、インフレ期待が高まるという状況もインフレヘッジとしての金買い増加を示唆するので重要だ。

では、以下に詳細説明。

5日に発表された雇用統計の内容は就職活動を諦めた長期失業者が増加傾向という懸念すべき内容であった。そこで間髪入れず待ってましたとばかりにバイデン大統領が緊急講演を行った。「雇用状況はかくも厳しい。(共和党が1/3への減額を主張している)民主党案の1.9兆ドル規模の追加救済経済政策を今こそ実行せねばならない」。財政赤字を心配するより、まずは追加財政出動で雇用救済回復が重要だと国民に訴えた。今日がなければ明日はないとの感覚が満ちる講演であった。

こうなると共和党も強くは反対できない雰囲気が醸成される。

そこにイエレン財務長官が生テレビ出演で共和党牽制の追い打ちをかけた。「財政は大胆に」。Act Big!がイエレン財務長官のスローガンになっている。「今、動かねば失業率の本格回復は2025年までずれ込む。今、動けば2022年回復も可能だ。」2022年か、2025年か、共和党に決断を迫る最終通告の如き迫力が伝わる。

これでも共和党が妥協せねば「最後の切り札発動もやむを得ぬ」との牽制の意図も透ける。

「最後の切り札」とはリコンシリエーション(財政調整法)。この単語も足元の米国政治情勢を読むにあたり必須の用語だ。51対50(副大統領が決定票を持つ)という超僅差過半数の上院で、民主党の単独強行採決を可能にする特別措置である。

バイデン大統領はできる限り超党派での合意を目指す姿勢を貫いてきた。しかし政権発足後100日間の「ハネムーン期間」にコロナ対策の効果が発揮されねば、いきなり出足から躓く結果となりかねない。それこそ共和党、特にトランプ前大統領がほくそ笑む展開となろう。ここはバイデン新大統領にとって正念場だ。

市場も週末に敏感に政治の流れを肌で感じ取っていた。

週明け東京株式市場「30年6か月ぶりの高値更新」との報道がウォール街でも話題になった。

早速モルガン・スタンレーからは「株価調整終了」とのレポートが流れる。クレディ・スイスは「間断なき株価上昇シナリオ」を発表。

ここまで強気説が支配的になると、当然「バブル末期」説も勢いづく。特にテスラ社がビットコインにまで運用拡大方針を開示したことが市場の警戒心を強める要因となった。

交流サイト系個人連合の反乱の真っ只中に、マスク社長が空売り締め上げ攻勢を支持するかの如き投稿で、火に油を注ぐ結果となったことも記憶に新しい。

今やトランプツイートに代わり、マスクツイートが市場を動かす。暗号資産に関しても理解を示す姿勢であったが、うっかり「買い」と投稿すれば、その一言が急騰を誘発するは必至だ。マスク氏はテスラ株非公開騒動などに際してもツイッターでの発言が問題視され、SEC(米国証券取引委員会)からイエローカードの如き警告を受けていた。そこで今回はまず社として運用方針拡大の情報開示に踏み切ったようだ。

かくして、レディット銘柄の株価波乱、ビットコイン相場急騰と投機的資産価格変動が相次ぎ、市場の「バブル感」も高まっているわけだ。

冷静に分析すれば、注目すべきはブレークイーブンインフレ率が2.21まで上昇して、インフレ期待が高まってきたことだ(グラフ参照)。政策金利はFRBが決めるがインフレ期待は市場のセンチメントが決める。イールドカーブも一時は平坦から逆イールドになり、「不況の前兆」と気味悪がられたものだ。しかし今や米国長短金利差は右上がり(順イールド)で拡大の一途。見違えるような急勾配になり、イエレン財務長官の「高圧財政論」によるインフレ期待の高まりを映す現象と見られている。しかもパウエルFRB議長は「インフレオーバーシュート容認」の姿勢を変えていない。

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「雇用なき株高」という実体経済から遊離した現象でも、市場環境は「株高のモメンタム」継続を明示している。

「せっかくのパーティーゆえ、お相伴に与り参加させてもらうが、会場の出口に近いところに陣取る。マスク氏が中締め挨拶に向かったら直ぐに出られるように。」とのヘッジファンドのつぶやきが市場心理を表している。

以上

さて、本欄では政治的発言は控える方針ですが、最近コロナ危機に際して、あまりにお粗末な発言が続くので、さすがに黙っていられない心境です。

昨日は自民党の二階氏。「森氏は謝罪したから、もういいでしょ」のような発言。更に「ボランティアが抗議で辞めている?しょうがないでしょ。補充すればいい話」のような発言も。もはや「老害」としか言いようがない。でもこのような人物に現首相は何も言えないことが最大の問題。五輪選手たちの間にも森会長など幹部に対する「遠慮」感が漂い、真っ向から反発できない。

ワクチン接種も考えさせられる。米国はコロナとの「戦争」との認識で「戦時対応」。つまり一人の命を救うだけのために国家的戦略は変えられないという認識。これ、日本で語れば即炎上必至でしょう。ワクチンでも副作用ゼロとは考えにくい。でも一件でも副作用の事例が出ればワイドショーでは大騒動になるは必至。日本の特殊性に鑑み、コロナ対応も遅れるとの個人的判断で事務所も引き払い、年内は在宅テレワークと決め込んだ次第。状況が好転すればそれから事務所再開しても遅くはない。そもそも私のような仕事は今や働く場所はどこでも良い。ネット環境とウォール街に長年構築した人的ネットワークが最大の武器。コロナ前より情報量が増えるとは予想していなかった展開。NYの連中も在宅だからコミュニケーションの時間が増えたのだ。

2021年