豊島逸夫の手帖

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銀買い攻勢、米個人連合がヘッジファンドに屈す

2021年23

銀はやはり急反落(価格グラフで赤字が1日、緑色が2日)。

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シルバーを甘くみた個人連合が今回は負け。
理由は昨日本欄に詳述した通り。
シルバーでの失敗をキッカケに株式市場でもレディット銘柄が一斉に売られた。
株式市場は不安要因後退で安堵。ダウ500ドル超急伸。
金は1840ドル台に反落。

今週はレディット交流サイトと銀に振り回されている。
これでやっと一段落だが、レディット個人連合は「素人集団でも結束すればプロにも勝てる」術を覚えたからリベンジ必至。

市場サイドも敵視、警戒するのではなく共存を目指すべき。株でも金でも取り込めれば市場の厚みが増す。新規参入組は今後も一定の存在感を持つマーケット内の「野党」みたいな感じになりそう。

さて、今回のレディット騒動にはソフトバンクが模範とされていたという話。
2020年9月、ソフトバンクが推定40億ドル相当の米ハイテク株オプションを購入と一斉に報道された。NY市場には、はるかに高い価格(ストライクプライス)で、期日も迫ったコールオプション(オプションプレミアムは安い)の短期売買との観測が流れた。

その当時、既にレディットのフォーラム「ウォールストリートベッツ」では、ソフトバンクのこのオプション戦略が話題になり、書き込みが増えていた。「ソフトバンクが40億ドルのハイテク企業株コールオプションを買った。」との投稿が確認できる。

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ウォールストリートに集まる投資家の戦略はコールオプションを買い上げ、売り手がヘッジとして同一の株式を買わざるを得なくなるようにするのが狙いと一部の外電でも報じられていた。
「マサはウォールストリートベッツではトレーダーだ」とか「マサ」を称賛する書き込みも見られた。孫氏が模範とされた痕跡がある。

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その後NY市場では株オプション売買高の急増が話題になり、価格が大きく動くとソフトバンクのオプションポジション解消ではないかとの憶測が絶えなかった。
その喧噪に埋もれ目立たなかったが、ウォールストリートベッツの「小鬼たち」は黙々と新規参入の機会を窺っていたのだ。

なお、筆者が残念に思うことは、本来投資家の損失を一定に抑えるという投資家保護の発想で開発されたオプションが、今や低資金でレバレッジを効かせる投機のツール化したことだ。今回のレディット関連の報道でもオプションが悪者扱いされる風潮が目立つ。しかし株式市場では価格下落に備えプットオプションが買われるなどリスク回避のヘッジ目的でもオプションは使われる。改めてオプションの原点に戻り、その存在意義を考える時であろう。

さて、次のレディット軍団の標的だけど、円相場は狙われやすい。日本の外為集団にはミセス・ワタナベ軍団がいるから、日米個人集団「共闘」となるか。因みにミセス・ワタナベとは日本人主婦がスマホ片手に子供の面倒をみながら、ドルだ、ユーロだ、ポンドだと外為投機的売買するイメージからミセス・ワタナベと外国メディアが表現した。今や外為市場内ではドル円相場に影響与える勢力としてその存在が認知されている。個人的にはレバレッジをかけて個人が為替投機するのは賛成できない。プロの体験としてリスクが大き過ぎるからだ。ツワモノならいざ知らず、普通の主婦がゲーム感覚というのは危うい。手数料稼ぎの業者が喜ぶだけだ。私自身、長期投資派ゆえ外貨建て資産はドル預金という地味な手段に限定している。皆からエーーッとか言われるけどね。プロの資産運用って、実は地味なものだよ。リスクの怖さをイヤッというほど体験してきているから。だからこそ金も積立。これもエーーッ、プロだから裏技使い放題と思ったと言われるけど。そんな魔法の杖あったら苦労しないよ。

2021年