豊島逸夫の手帖

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五輪強行は壮大な賭け、海外投資家は日本株売り

2021年524

「テーパリングに目途が立つまでは株への運用配分を減らす。日本が五輪を本当に開催するなら、まず保有日本株から売る。日経平均が上がればそこで売り抜けたい。」

米国株の変動幅が高止まりする中、外国人投資家の中ではリスク減らしの動きが目立つ。その中で欧州株の保有は維持するが、日本株は五輪リスクを嫌い保有株を売りの姿勢が顕著だ。
但し、五輪が終わり五輪関連材料が出尽くしとなれば、日本株買いも考慮する動きもある。その理由はワクチン接種の遅れ。

今欧州株が選好されるひとつの理由は接種が進んだ米国株に比し、欧州株は接種による経済効果を未だ充分に織り込んでいないとの発想に基づく。
同様に日本株も接種による経済改善効果の織り込みはこれからというわけだ。

米国経済テレビでは連日日本と五輪について報道が流れる。
「日本の医師たちが五輪中止を要求」
このようなテロップが流れると、日本に関する知見が無い多くの外国人投資家は、見出しを見ただけで反応する。日本株のイメージもこのような見出しの蓄積により形成されてゆく。
「安心安全な五輪」という表現を英訳して提示したら一笑に付された。

東京五輪に対する海外反対論の強さは例えばFTの読者書き込み欄に顕著である。
「日本、オリンピックという壮大な賭けを強行へ」との見出しの5月9日付けの記事には40を超える書き込みが見られる。その大半は「日本の判断に関して理解に苦しむ」というような反対論に満ちている。

このような市場環境の中で東京五輪が日本株リスクとして意識されているのだ。

 

 

 

 

2021年