豊島逸夫の手帖

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緩和縮小の波 市場に迷い

2021年12月20日

首題は18日土曜日経新聞朝刊「グローバル市場」面の記事見出しだ。

「インフレ先行き見えず 金利低下でも銀行株上昇 金に買い」と見出しは続く。「中銀がインフレ退治に乗り出したのにインフレ耐性の強い金が買われた」と記事が疑問を投げかける。

マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「この状態(実質金利マイナスの状況)が続けば利上げにより金相場が大きく崩れることはない。欧米の長期投資家もインフレ継続を意識して金購入に動く可能性もあり、来年は1650ドルから1950ドルの範囲で推移する」とみる。

更に記事は続く。国内企業年金基金の運用担当者は「インフレが止まらない場合に備え、金のETFを買う準備を進めている」と明かす。「いざ日本がインフレになったとき日銀は対処できるのか」と懸念を示す。

なお、今年の金ETFは88億ドルの流出過多で21年は6年ぶりの純流出となりそうだ。

というわけで筆者の2022年予測レンジについては別の機会に詳説したい。
筆者が気になっていることはパウエルFRBがタカ派に転じても米10年債利回りが1.4%ほどに留まること。FOMCの予測では今回の利上げサイクルで最終的に政策金利が2%台前半に達する見込みなのだが、米国債券市場はそこまで金利は上がらないと見ている。本欄でも何回か書いたが市場の見解とFRBの見通しには差があり、どちらかに収斂してゆくことになる。

現状ではオミクロンにより行動制限が厳しくなり、経済が減速すると利上げどころではなくなる。
或いはインフレは今がピークで鎮静化に動き始めた時期にFRBが利上げを連発するとインフレ率が下がり過ぎるリスクもある。
かと思えばオミクロンがインフレ傾向を強めるリスクもある。感染不安により供給網混乱や人手不足が悪化するからだ。

かくしてFRBは危うい綱渡りを強いられる。インフレが下がり過ぎても上がり過ぎても金には買いのシナリオになる。パウエル議長がインフレでもデフレでもない適温経済を実現させれば金の出番ではなくなる。

さて、今日の写真はタコの茹で上げ(蒸気が映っているかな)とカワハギと肝の組み合わせ@お茶の水、誠鮨(大手宝飾メーカー系列)。

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タコも今年は値が上がり「高級品」扱いらしい。

2021年