豊島逸夫の手帖

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米素人集団、ヘッジファンドを締め上げ、勝利宣言

2021年1月27日

自宅待機で時間を持て余すミレニアル世代の若者たちが、SNSチャットサイト上で団結して、ヘッジファンドの空売りを締め上げた。所謂ショートスクイーズ(踏み上げ)である。
いかに呼び掛けに応じ束になって手向かったとは言え、巨額の資金力を持つヘッジファンドをどうしてタジタジに追い込めるのか。

ポイントはオプションの活用だ。
コールオプションは少ない元手で一定期間、特定の株価で株式を購入できる権利を得る。顧客が払うのはオプションプレミアムと呼ばれる掛け捨て保険料だけだ。従って損失もその保険料の範囲に限定される。

NY株式市場ではゲームストップというビデオゲーム小売りチェーンの株式が標的にされた。同社株はヘッジファンドが空売り攻勢を仕掛けている。
そこで個人投機家集団は同社株のコールオプションをSNS上の呼び掛けに応じて買いまくったのだ。それも保険料の安いコールオプションが狙われた。現株価を大幅に上回る株価を買う権利などは実現可能性が低いから安く買える。業界では「ポンカス」と呼ばれるが宝くじのようなものだ。従って自宅待機で時間を持て余す投資初心者でも十分に買える範囲である。

では、これでなぜ空売り仕掛けたヘッジファンドが慌てふためくのか。
ポイントは個人顧客集団に大量の「ポンカス」コールオプションを売った業者側にある。
いくら実現性が低い価格で「買う権利」とは言え、総額が膨らむと万が一に備え、ヘッジでゲームストップ株を買っておく必要が生じるのだ。
昨日のようにバッタの集団の如く買い注文殺到となると、心理的にもヘッジせねばとの緊迫感が高まる。

その結果株価がジワリと上がり始める。そうなると個人投機家の買った「同社株を買う権利」の価格も上がり、更に新たな買いを誘発する。すると業者側も更にヘッジの買いを増やす。買いが買いを呼ぶ連鎖で昨日は短時間で数十%も急騰。

そこで個人投機家集団はコールオプションの見切り売りに動く。同社株価は急落。
この個人投機家集団の異常な動きはここ数日見られたが、昨日ピークに達した感がある。
ビットコインを凌ぐほどの価格変動性(ボラティリティー)ゆえ、NY証券取引所は一日9回も同社株式売買停止措置を発動せざるを得なかった。
バリュエーションなど全く見ない初心者軍団ゆえ、プロも持て余す。

株式市場をマクロで見れば一部での異常な動きと片付けることもできる。
しかし昨日はこの余波が例えば老舗百貨店メイシーズやフォードなどにも飛び火の兆候が見られた。
そもそもこのような投機行為が常態化すれば無視できない存在となろう。

SEC(証券取引委員会)も事態を重く受け止めているようだ。
バイデン新政権人事により指名された「規制の凄腕」ゲンスラー新SEC委員長の初仕事になるかもしれない。
「株価バブルの醜い(ugly)結末を暗示」する如き異常な展開ゆえ、昨日のウォール街はこの話題で持ち切りであった。
こういう異常現象は今後NY金市場でも起きる可能性がある。

ここで使われたサイトがreddit(レディット)という「なんでもお助けサイト」なのだが実に便利。「あれ、あれ、あの人、名前、ど忘れした。」という時、状況を書き込むと、それってxxさんのことじゃない、とか答えが返ってくる。投資、住宅ローンから観葉植物まで幅広いコンテンツだ。

さて、昨晩はマガーリ@自由が丘からお取り寄せでイタリアンを注文した。
まずはラザーニャ(久々に料理写真掲載)。二人用650グラムで2600円。そして揚げピザ。
これが絶品。こういう基本的な料理にシェフの実力が出るのだよね。お家でレストラン気分になれて満足。気分も盛り上がったよ。揚げピザは明日ね。

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2021年