豊島逸夫の手帖

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「銀」急騰、ヘッジファンドも個人連合も買いの危うさ

2021年22

レディットマネーの買いの標的に銀も加わったとされ、銀相場が急騰している。これはご用心。
確かに市場規模が小さいので急騰しやすい。「貧者の金」と言われ、単価が安いので買いやすい。

しかし現在の銀市場ではヘッジファンド側も買いポジションを積み上げてきた。そこに個人連合が更に買い攻勢を仕掛けている。ヘッジファンドの空売りポジションを締め上げるという構図ではない。両者買いの「共闘」である。その結果30ドル近くまで銀価格は急騰したが需給では全く正当化できない水準だ。銀は太陽電池の需要もあり、熱伝導性が良いので電子部品素材にも向いている。しかし現物需給より先物市場での思惑による売買の影響の方がはるかに強い。価格が急騰すればリサイクルで大量の銀が還流してくる。しかも外為市場ではドル高に振れている。コモディティーにとってドル高は売り要因だ。買いのモメンタムが臨界点に達すれば一転急落の連鎖となろう。

更にNY銀先物市場ではCFTC(商品先物取引委員会)の規制が効いている。過熱すれば取引所経由で証拠金引き上げ、更にポジション規制を発動する。ドッドフランク法によりCFTCの規制は強化された。

銀ETFへのマネー流入も増えている。こちらはSEC(証券取引委員会)の管轄だが先物に比しレバレッジは無い。

銀鉱山株の上昇率が最も目立つ。こちらは株式投資の分野なので新たなレディット銘柄と理解できよう。しかし特に空売り比率が高くはない。

更にウォールストリートベッツでの書き込みも知見不足を露呈している。荒唐無稽な陰謀説が語られ、誤字・誤解も見られる。例えばbillion banks(10億の銀行)が価格操作という書き込みだが、おそらくbullion banks(金銀を扱う銀行)の間違いではないか。そもそも銀行が結託して価格操作しているという途方もない陰謀説は笑止としか言いようがない。現場を知るものなら操作できるなら苦労はないという実感であろう。

なお、銀は米国人投機家が特に好む。ジム・ロジャーズ氏も銀好きだ。これには歴史がある。1930年代から1960年代にかけて米国では民間金売買が禁止され、その代替として銀が取引された。その後金が自由化されても銀選好度の高さがDNAの如く残っているわけだ。

総じて銀急騰劇はレディット相場の危うさを露呈する展開になっている。

なお、案の定、やはり市場が小さいプラチナにも波及。1110ドルを突破してきた。こちらの方が長続きしそう。

さて、国会議員の「夜の銀座」問題は、これまたお粗末としか言いようがない。国会議員になってちやほやされると、もう辞められないという話はよく聞かされるが。早くも北九州市とか埼玉県戸田市の地方選で与党議席減らしの影響が出ているね。有権者は見ている。かと言って野党政権というと福島原発事故で当時の菅首相失態の記憶も生々しく残るし。困ったものだ。。。

それにしても「夜の銀座」の何が良いのだか。私は所謂「遊び」の類は20代の10年間で嫌というほど浸かったから免許皆伝(笑)。もういいやという感じ。一番厄介なのが中年になって、その世界に目覚めてしまうオジサンたちだよね。何と言うか、合掌。。。

2021年