豊島逸夫の手帖

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金、1750ドル台まで続落

2021年630

雇用統計発表前に虚を突く投機筋の売りで国際金価格は1750~60台まで水準を下げた。
昨日NY市場午前中にエアポケットに入った如くストンと1750ドル台まで急落(KITCOグラフ緑線参照)。
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その急落前後に重要な経済統計がふたつ出た。
ひとつは消費者信頼感指数(民間コンファレンスボード)が発表され127というコロナ危機勃発以来最高水準。
更に、ケースシラー全米住宅価格指数が全米20都市で前年同月比15.7%上昇。これは統計開始以来最高の伸び率。
米国経済再開、絶好調を示す経済統計に利上げ観測は益々強まる。インフレは一時的ではない、パウエル議長の判断は間違っているとの論調には追い風。金には逆風。しかし鳥の目で俯瞰すれば2022年以降インフレの可能性が高まる。

なお、昨日述べたデルタ株脅威も昨日のNY市場で顕在化。金市場ではコロナ禍の最貧国救済のためのIMF金売却の可能性が取り沙汰された。しかしこれは投機筋の売りの口実っぽい。まぁ歴史的に見れば、IMFが2010年前後に403トンの金売却に踏み切った時は、その内200トンが(市場への影響を抑えるため)場外取引でインドに売却されたことがある。そのインドがデルタ株発祥の地という展開なのだが後講釈に聞こえる。

魚の目で市場の中期的底流を見れば、当面下値模索の1700ドル台が続きそう。安値圏は中国・インド・中東の実需と安値拾いのETF購入が増え、底値圏を支える構図に変わりはない。先物市場は短期的な売り一色だ。

それにしても日本の変異株対策=水際対策は「甘い」の一言だね。インド周辺国の五輪関係者に現地出国前の一定期間PCR検査必要と言う程度で、基本的に「性善説」に立つ。良識的に要請は順守されるという「甘い」期待。しかし現地は「性悪説」。規則は破られるためにあるようなもの。しかも日本政府は入国規制強化の「方向で検討へ」。いつもながらアクションが遅い。「ゼロ・トレランス(許容度)」=違反は一件たりとも許さずと何故言えないのか。「ゼロ・トレランス」を明言するオーストラリアでさえインド株は侵入している。もどかしい。

日本人にとって一服の清涼剤は連日の大谷ホームラン@NYヤンキー・スタジアムだね。現地メディアも大々的に報道。と書くうちに今朝も27号、28号連続を叩きこんだ。右翼が狭い球場ゆえ軽くライトフライ程度の打球がホームランになっている。大谷選手、全力で振る必要がない。バットの芯を外してもホームランになる球場。

2021年