豊島逸夫の手帖

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雇用統計後、金上昇

2021年12月6日

注目の11月雇用統計は、非農業部門新規雇用者数が事前予測55万人増のところ21万人増と大幅に下振れた。
一方、失業率は4.2%と2020年2月以来の低水準に。
労働参加率は前月の61.6%から61.8%に上昇。とは言えコロナ前より大幅に低い水準だ。
但し、この11月統計は11月末に突如出現したオミクロン株の影響を反映していない。

総じて良くもあり、悪くもありの結果だが、米債券市場ではドル10年金利が1.4%台から1.3%台に下落した。
市場は新規雇用者数の大幅下振れにより、FRBの利上げ観測が後退したと見ているようだ。金価格は1780ドル台へ上昇。

さて、筆者の見解はこの程度の新規雇用者数の下振れで、パウエル議長のテーパリング早期終了、利上げ検討開始の意図が変わるとは思えない。あまりにも低過ぎるので、恐らくノイズ(雑音)と一蹴して、いずれ上昇修正される可能性が強いと見ていると思う。
金価格も依然1800ドルの大台は回復できていない。
やはり労働参加率が回復していないことが気になる。オミクロン株の出現で労働を回避する人たちの数は増えるのではないか。
オミクロン株と雇用の関係は重要だが、現時点ではマダマダ情報不足。一般的に患者の症状が軽いようだが、今後の展開を待たねばならぬ段階である。

さて、対面のセミナー講演の機会が増えてきた。やはりリモートやYouTubeより、実際に聴衆が見える会場で語る方が講師の方もリアリティーがあり話しやすいし、聞く方も熱が入るもの。

経済俱楽部という昭和6年創立の歴史ある俱楽部で筆者も毎年1回講演している。今回で何と同倶楽部4395回目の講演となる。

https://www.keizaiclub.or.jp/

常連も多く、特に質疑応答は活発になる。株、円、債券そして金・原油など多岐に亘って所見を述べた。筆者はどの組織にも属さず、自由に本音を語れる立場なので、言いたいことを言ってきたまで。実はそういう本音を聞ける講演は少ないと毎回言われる。

2021年