豊島逸夫の手帖

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バイデン超大型財政出動、全開へ

2021年8月11日

1兆ドル規模のインフラ投資案について米国上院で民主党と共和党が大筋合意した。古くなった道路や橋などの補修・再構築は米国経済にとって喫緊の課題であり両党も歩み寄った。但し財源はあやふやである。共和党が増税を断固拒否しているから、コロナ対策予算の残高の一部を流用するなど、何とも心許ない。とは言えインフラが再整備されれば、米国経済の生産性は高まるから、財政赤字と言っても「生産的な良い赤字」の類に入るであろう。

問題は次に控える3.5兆ドルの「貧困・気候変動対策」予算案だ。民主党はこの案に共和党の合意を得るのは不可能と判断して「財政調整法」という「強行採決」の道を選択する模様だ。それゆえ紛糾必至。更に財源となると全く視界不良だ。

結局、米国債増発は不可避。現在は1.3%程度の低水準で推移しているが、いずれ利回り上昇も不可避と思われる。これは財政赤字を懸念した「悪い金利上昇」となる。

この財政赤字問題が年内に市場を揺らすとは思わない。財政要因はジワリ効いてくるので時間がかかる。2022年に市場要因として顕在化してくるであろう。来年は米国中間選挙の年でもある。選挙対策として派手なばら撒き案が出やすい環境となる。

なお、米国特有の財政赤字に上限を課す法案も9~10月には「財政の崖」として問題視されよう。最悪一部政府機関閉鎖の事態など考えられるが、米国債債務不履行(デフォルト)とはならない。ここはメディアの派手な見出しに踊らされず冷静に見るべきだ。

この財政問題は金価格の下値を中期的に支える要因。
対して、テーパリングなど金融政策由来の要因は金価格の頭を短期的に抑える要因となる。
ここは弁別して考える必要がある。

さて、スポーツ紙を見ていたら金色の見出しで「金相場、5000万円」。なんだと思えば、金メダリストにはCM契約で5000万円の値が付くとの話であった(笑)。

個人的には空手の形がかっこ良かったな。金メダルの男子はもちろん、それ以上に銀メダルの女子選手は凛としてもっとカッコ良かったよ。
卓球の男女複合チームが中国に勝って金メダル獲得した瞬間に男子選手が女子選手にハグしてふられたという件も、本欄で書いた「日本人の儀礼的ハグ・キス下手」の典型事例。笑えたよ。

2021年