豊島逸夫の手帖

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デルタ・プラス新型も出現、変異型リスクそろり

2021年6月24日

まず今週土曜日26日朝9時半からのBSテレ東「日経プラス9サタデー」にリモート生出演。今回の大荒れ相場について番組の最初の部分で10分ほど語る予定。

そして今日の本文。
「ワクチン接種ペース鈍化と変異型はリスクである」
22日パウエルFRB議長議会証言での「主文」の中の一節だ。
議員との質疑応答はNY市場内のグループ視聴に参加しつつ、リアルタイムでZoomを通して語り合った。
そこで冒頭の変異型リスクが話題になったのだ。
特に22日にはコロナ関連で米国民の圧倒的支持を得ている第一人者ファウチ氏(現在は大統領医療アドバイザー)が「デルタ型が現在、最大の脅威」と警鐘を鳴らしていた。デルタ型が米国でも最大の感染源になるとの予測である。バイデン大統領は7月4日独立記念日までに18歳以上の70%が少なくも1回接種を目標として掲げてきたが、22日にホワイトハウスは渋々断念を表明している。メディアでは現在65%と報道されている。あと5%の距離が想定以上に長い。後発日本にも参考になる事例だ。

更にデルタ・プラスという新たな変異型もインドで確認され同国第二波が懸念される。
欧州では既にデルタ型により行動制限再発動や解除延期の動きが出始めた。ポルトガルで特にデルタ型感染が顕著だが、ポルトガル在住のインド人が多い居住区で感染が多いとされる。ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見以来、両国には歴史的に長い繋がりがある。

このような状況の中で米国の金融政策も変異型拡大ともなれば緩和縮小どころではなくなる。そもそもコロナ感染を嫌って求職活動を躊躇う現役組や復職せず労働市場を去るシニア組が多いことが雇用問題に関しては阻害要因として指摘されてきた。米国航空会社ではスタッフ不足で多数の欠航を余儀なくされる事例も出ている。

NY証券取引所も一部再開して取引所内のブースからの中継番組が増えた。マスク着用せず仕切りもなくコメンテーターが至近距離で侃々諤々議論を交わしている。しかしここ数日はマスク着用のキャスターや中継スタッフ削減の動きも出始めている。

ちなみに在米アジア系の人たちは経済再開でもマスク着用継続の傾向が強いことも話題だ。特に日本人は衛生意識が強くマスク着用に慣れていると報道されている。とは言えその実態はアジア系への差別暴行からの自衛手段という事情も見逃せない。

なおワクチン接種に関してはモルガン・スタンレーが未接種の社員及び顧客のNYの社内立ち入り禁止を発表してこれも話題になっている。
既にゴールドマン・サックスは米国社員に接種状況を開示するように義務付けている。
このような状況下で五輪を控える日本が話題になることも増えた。

日本企業関連では「職場集団接種急拡大」が日本特有の良い事例として紹介されている。終身雇用で会社側と社員側が寄り合う雇用習慣は変わりつつあるものの、未だに根強く残るという意味で注目されているのだ。

総じて緩和縮小、利上げ=金の下げ要因が目下の市場のテーマだが、変異型は「ちゃぶ台返し」のリスクを孕む。

さて、今朝は朝5時から大谷「投手」先発のメジャー中継を見た。ちょうど大引けのNY市場などそっちのけで(笑)。
「SHOHEI」の投打にわたる大活躍は実に清々しい。見ていてスッキリするね。

そして今晩から米国女子ゴルフのメジャー競技。笹生、畑岡出場という見出し。出場はするけれど、もはや渋野の名前が見出しから消えた。とにかく先日の米女子メジャーで日本人プレーオフ対決が見られて感激したばかり。これも楽しみ。

先週は米国男子ゴルフのメジャーに松山選手が出場。とにかく超、超、難コースだった。自分で体験しているから米国特有のねちっこくクラブフェースに絡む芝の難しさはよく分かる。エキサイティングだった。

2021年