豊島逸夫の手帖

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バイデン相場始動、金価格見方割れる

2021年1月22日

今朝の日経新聞朝刊マーケット面に「バイデン相場始動 市場、株高・ドル高の見方 株)米個人消費が支え 為替)日米金利差が拡大 原油)財政出動に期待感」との記事が載っている。記事の最後に、金についても見方が交錯しているとして、財政の大盤振る舞いが「財政悪化懸念や通貨安を招き金を押し上げる」(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)との見方もある。一方で「将来の金融緩和縮小が意識されて金利が上昇し、金は下落基調に転じる」(上野剛志氏、ニッセイ基礎研究所上席エコノミスト)といった逆の見方もある。との内容だ。

私の2021年金価格展望は日経新聞1月9日朝刊に掲載されたインタビュー記事を本欄でも紹介した。

最近自粛で退屈気味なので、意見が割れると、ここは紙上対談でも載せてくれないかなと思ってしまう(笑)。以前GFMSが来日して強気論をぶった時、私は弱気論を述べていたので、日経が紙上対談として対決させたことがあるけど。結果はその年は金が下がり、私の勝ち(笑)。

さて、今年の金弱気論は、コロナ後に経済が好転して、金融緩和も縮小すれば、金利も上がるから、金利を生まない金には逆風ということだと想像する。金融緩和縮小論に関しては1月9日のインタビューでもリスクはテーパータントラム(量的緩和縮小ショック)と語った。但しこれは株も金も全て換金売りされるという一過性の売りを想定しての発言だ。重要なのはコロナ後に景気が回復して名目金利が上昇しても、インフレ期待が上がれば、実質金利はマイナス状態が続くということだ。私は経済が活性化すればインフレ期待或いはインフレ懸念は強まると考える。それゆえ名目金利が上がっても実質金利は上がらないということだ。更に金利上昇も、例えばドル長期金利が現在の0.9%程度から心理的節目(臨界点と私は呼ぶ)1.5%程度まで急騰すると、米国債増発を懸念した国債見切り売り(=長期金利上昇)という、所謂「悪い金利上昇」に飛び火するシナリオも考えられる。リーマンショック時の金急騰は米国債格下げから火が付いた。

まぁマーケット全体をカバーする記事で、金の部分は少なく、字数も少ないので、反対論にもいろいろ議論はあると思う。だからこそここはじっくり語り合ってみたいと思うのだが、市場の注目が金よりビットコインの派手な動きに行ってるから無理かな~。

さて、東京五輪中止記事がNYタイムズに続き、ロンドンタイムズにも出て話題に。
一方、今日の日経新聞は無観客でも強行との報道だ。
私は前から述べているように早く中止決定した方が、経済的ダメージを最低限に抑えられると強く思う。
今のコロナ状態で夏に開催ということが、どうしてもイメージできない。欧米はそもそも選手団を送れないのでは。
個人的には「しぶこ」のプレーを五輪会場の霞ヶ関カンツリー俱楽部で見たいけどね。
五輪中止による経済的損失は5兆円とか、間接的な部分も入れれば20兆円超えとか言われ、日本株は暴落するかもしれない。
それでもおかしな変異種を持ち込まれるとか無くなるし、ウイルス水際対策に完全は無いから。

今の首相に決断力は期待できないから、最もあり得るシナリオはギリギリまで引っ張って、結局「厳しい情勢を鑑み、断腸の思いで決断した。」とかの首相声明でアウトということかな。大混乱必至だけど。

2021年