豊島逸夫の手帖

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台湾有事で金は買われるか

2021年4月21日

経済的な視点ではホワイトハウスでの日米首脳会談の日本側のコストは高くついた。米国につくのか、中国にも配慮するのか、踏み絵を踏まされた菅首相が敢えて共同声明に「台湾海峡」を明記したからだ。当然中国側は猛反発。日中関係も改善ムードにあったが一気に悪化懸念が台頭している。中国は日本の最大輸出先だ。日本株価もコロナと中国懸念で今週大幅に下落中である。

では本当に台湾有事はあるのか。
結論から言えば台湾は中国の核心的利益に属する事項だが、ここで事を荒立てても米中とも得るところは少ない。実際の問題として懸念されるのは、戦闘機パイロットなどにより最前線で起こる可能性がある偶発的衝突だ。

この程度であれば有事の金買いも投機筋が囃す程度となろう。
とは言え、そもそも有事の金という言葉は米ソ冷戦の時代にできた用語だ。それが今や米中冷戦である。市場心理として無視できない案件とも言える。米国、中国の国内で人種・少数民族問題などが激化すれば、国民の関心をそらすために外交面で強硬姿勢に転じるかもしれない。

米ソ冷戦が雪解けとなりベルリンの壁が崩壊した時点で、有事の金は死語になったとも言われた。それが改めて米中冷戦という形で2020年代に有事の金という言葉が戻ってきた。今回は日本も直接的に巻き込まれるリスクを孕む。今や有事の金が他人事ではないという意味で日本人の意識も変わってきそうだ。

さて、コロナも変異株で再び非常事態入り。ワクチンも全接種対象者に行き渡るのは来年3月頃まで待たねばならぬ様相だ。どうもコロナについては筆者の悪い予感が次々に現実になって、個人的にかなり苛立っている。東京五輪も含めかなり憂慮すべき状況である。但しこれを政治の問題としてこき下ろすのも単なる鬱憤晴らしに過ぎず虚しさを感じる。最後は個人個人がどのように考え対応するか。自分の問題として受け止めるしかあるまい。筆者も最大限のコロナ対策は講じつつ、日々自分なりの生き方を模索している。ゴルフの素振り100回とか、おうちごはんで旬の筍を味わうとか、近所の猫ちゃんと遊ぶとか(ペット・ロスは未だ心の生傷)、そして仕事もするとか(笑)、あれやこれや、やることはいっぱいあるよ~。

2021年