豊島逸夫の手帖

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目立つ「円建て」金高

2021年11月12日

国際金価格は1860ドル台で高止まり(KITCOグラフ緑線参照)。

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国内円建て金価格は円相場が再び114円台と円安進行なので結果的に上げが加速している。
「ドル高ならNY金安」という市況の法則には反する値動き。昨年も一定期間見られた。時々生じる「相場のアヤ」で理論的根拠は無い。逆にドル安円高でNY金安というダブルで下がる事例も時々起こる。
自国通貨安で国内金価格高ということは日本の金価格が割高とも言える。

それからNY金市場で短期売買のヘッジファンド(コモディティートレーディングアドバイザー=CTA)が高速取引を駆使して金市場にチョッカイを出し始めた。この人たちはファンダメンタルズなどには目もくれず、ひたすらモメンタム(市場の勢い)が高いセクターを狙い撃ちしてくる。通常はボラティリティー(価格変動性)の高いシルバーを狙ってくるのだが、今回は金もかなりボラティリティーが高くなってきたので参戦というわけだ。クリスマス休暇までの期間には最重要級イベントである12月FOMCもあり金市場は荒れそう。これまで膠着期間が長かったので市場の底流としてマグマの如く売買エネルギーが蓄積されてきた経緯もある。

年末までに1800ドルでも1900ドルでも不思議はない。今晩はNY連銀ウィリアムズ総裁がフォーラムに参加するので注目。CPI6%ショック後、初の要人発言。しかも彼はハト派。インフレなんて一時的と言い切ってきた人物。その人物がインフレは一時的「かも」と表現を和らげるだけで、市場は「すわ、利上げ前倒しか」とばかり色めき立つだろう。因みにNY連銀はFOMCに参加する地区連銀中、唯一常任で投票権を持つため、その総裁の発言は重い。他の地区連銀は持ち回りでFOMC投票権を持つ。なおNY連銀の地下金庫には大量の公的保有金、即ち様々な国の外貨準備としての金塊が保管されている。米国短期金融市場でのオペレーション実行役もNY連銀と決まっている。

写真はNY連銀前にて江連裕子キャスターと。一昔前の映画「ダイ・ハード2」では盗賊がNY地下鉄のトンネルからドリリングして、NY連銀地下金庫から金塊を盗み出すという場面があった。

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2021年