豊島逸夫の手帖

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CPIショック、金市場を直撃

2021年11月11日

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注目の10月米消費者物価上昇率は年率6.2%と30年ぶりの高水準。このCPIショックは金市場を直撃。金価格が乱高下した。
まずインフレ懸念により金がインフレヘッジとして買われ、一時は1870ドルが視野に入る急騰。

しかし、CPIショックの第二波が米債券市場を直撃するや、政策金利に連動する2年債利回りが前日0.4%台から0.5%台に暴騰した。一日の上昇率が20%に達したのだ。これは市場が利上げを織り込む動きと言える。ここで金価格上昇は頭を叩かれ1840ドル台まで急落。

まさにインフレヘッジの買いと利上げを嫌う売りが交錯した。
それでも金価格の水準は切り上がったと言える。

次の注目点はこのCPIショックに関して、パウエル議長をはじめFOMC参加者がどのように講演などで語るか。
タカ派はそれみたことかとばかりに2022年2回利上げを語るであろう。

問題はパウエル議長だ。これでもインフレは一過性として利上げには慎重な姿勢を崩さないのか。市場は是非とも確認したいところだ。
最終的には12月FOMC時に発表されるドットチャート(参加者の金利予想の分布を示すグラフ)で明らかになろう。もう11月ゆえ12月FOMCの時期も近い。
利上げ論がヒートアップすれば、1850ドルがレンジの上限になり、金売りが優勢になる可能性もある。

対してこれでも利上げには程遠いとされれば、経済過熱が懸念され、インフレヘッジとして金が買われ、1900ドルも視野に入る。
なお、CPIショックで外為市場ではドル高・円安が進行している。
円建て金価格は下がりにくい地合いが続く。

2021年