豊島逸夫の手帖

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バイデン氏は株高を素直に歓迎するか

2021年325

24日、議会上院銀行委員会でイエレン財務長官とパウエルFRB議長の議会証言の最中に、バイデン大統領はコロラド州で22日発生した大型スーパーでの銃撃事件に関して発言。10人死亡の事態を重く受け止め「(銃規制は)超党派の問題」と強調した。経済テレビ局も議会中継を中断してバイデン演説に切り換えた。

そこで市場の話題になったのが、バイデン氏とウォール街の距離感だ。
人命最重視は当然であるが、2日前の銃撃事件に関する所感を敢えて議会証言の時間帯にぶつけてきた感覚が市場は気になるのだ。
その背景にはウォール街のエリートより、中間層を重視する姿勢が指摘される。

トランプ前大統領が株価を政権の通信簿として重視したので、対比が鮮明に映るのだ。金融規制もトランプ氏の緩和姿勢からバイデン氏の規制強化へと潮目が明確に変わっている。
そこでバイデン氏は株高を素直に歓迎するのかということが話題になるのだ。
ESG投資への関心は強そうだが、金利急騰による株価急落などの事例に興味を示すとも思えない。
2日目の議会証言では民主党急進左派のエリザベス・ウォーレン上院議員が、資産価格バブルリスクへの対応について持ち時間の5分をかなりオーバーして食い下がっていた。
39%前後とされる株式売買益への課税案も富裕層限定とは言え、可能性として市場では懸念される。
金投資も規制対象として標的にされるかもしれない。

一方、ウォール街が安堵する面もある。
財務長官の立ち位置が大きく変わったことだ。ムニューシン前財務長官はあくまでトランプ氏への忠誠を意識して行動・発言した。対してバイデン氏はイエレン氏という経済のプロの裁量を認め、任せる傾向が既に目立つ。FRB議長に対してもバイデン氏はトランプ氏のように露骨な政治介入することはあるまい。
ウォール街からの政治献金もバイデン氏は特に拒否もせず受領してきた。

今年後半に一時的にせよ経済が過熱して消費者物価上昇率が急上昇するような局面が起きた時、「庶民派」バイデン氏の本音も明らかになろう。

さて、福島が第二の故郷の筆者には気になる宮城県での感染者100人突破。近隣の山形県にも波及している。先日の東北地震で多くの関係者が東京から仙台に出張したこと。3月にGoToイートのキャンペーンで飲食を奨励したこと。そして変異ウイルスの影響が指摘される。これは仙台に限ったことではなく、今後日本のどこでも起こり得る変異ウイルス活性化の事例と言える。濃厚接触者の行動追跡調査に協力せず、感染経路が不明確な事例が多いので、市中の感染拡大の実態に関して予断を許さない。地方では特に自らの行動履歴など語ればすぐに人物が特定され、村八分状態になりやすいからね。
福島県で聖火リレーが始まったけど全く盛り上がらず。
相場サイクル感覚で見ると、次のリバウンドの波が来たら5月GW後から五輪直前までの期間にピークになりそう。

2021年