豊島逸夫の手帖

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金1720ドルまで続落

2021年31

KITCO24時間グラフで明らかなように日に日に金国際価格は水準を切り下げ、先週金曜は1720~30ドル台まで下落。

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理由は前回と全く変わらず。1720前半も想定内。そろそろ底値圏に入ったが、前回書いたように実質金利が上昇しているので回復には時間を要する。

さて、先週金曜に朝日新聞に寄稿した元原稿。↓

年金が「金」を運用対象として買う時代

「日経平均3万円と言われても実感がないし、私は株式投資なんてやってないから関係ない」。
よく耳にするコメントです。
でも今や日本の公的年金の約半分は株式で運用されている時代。「あなたも株主」。老後生活設計も長期株価次第で大きく変わります。無関心ではいられない問題なのです。

とはいえ、これほど運用配分で株の割合が増えると、仮に株価が暴落した場合に、せっかく積み上げた年金原資が一気に減ってしまう結果になりかねません。
そこで、年金基金のなかには、「金」を運用対象として組み込む事例が世界で、そして日本でも出始めました。

ヒョッとしたら、あなたの勤める会社の企業年金の一部が既に「金」で運用されているかもしれませんよ。「あなたは既に金保有者」と言われたらビックリするでしょうね。
そして、個人の間でも、コロナをキッカケに金の積立を始める「新規参入組」が増えています。

まず、自宅待機が増えた。時間はある。せっかくだから投資の勉強でもしようか。そこで、あれこれ、情報を集めたところで「なるほど、金という選択肢もアリか」という事例を実際に見かけます。

老後2000万円問題を契機に、既に、若い世代でも老後の心配をする人たちが間違いなく増えています。
とはいえ、若者にとって老後は未だ数十年先の話。
そのような長い期間に亘って一定の価値を保てる投資商品なんてあるのだろうか。
そこで、希少金属で独自の価値を保つ実物資産の「金」が思い浮かぶわけです。

とはいっても、金って、価格が変動する「相場商品」だし「ヤバイかも」。当然の不安感だと思います。株は3万円突破、金は史上最高値更新。なにやらバブルっぽい匂いも漂います。

この異常な現象は、コロナという未曽有の危機から経済を守るために「有事対応」として発動された「財政大盤振る舞い、日銀おカネばら撒き」政策の「副反応」と言えます。

その結果、国はとんでもない借金を抱え込むことになりました。それもこれもコロナ対策としては、やむを得ないのです。
でも借金は借金。コロナが収束しても消えません。

そこで、コロナ後には、一転、経済の過熱、つまりインフレが心配される状況になってきたのです。
そうなると、ばら撒かれた円の紙幣は価値が目減りしますから、実物資産の金のほうに安定した価値が見込めるわけです。

但し、短期的に価格が変動するので、個人が買うなら、株のNISAやⅰDeCo同様に、長期積立方式が主流になりつつあります。

2021年