豊島逸夫の手帖

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スーパー老師と黄金分析師

2021年101

ドル10年金利上昇が1.5%近傍で一服したところでドルは急反落。金は急反発。短期投機マネーが相変わらず相場を荒らしています。
KITCOグラフの赤線がその動きですが、1750ドル台まで戻しました。空売りの買い戻し(ショートカバー)が中心です。新規の買いは未だ薄い状況です。

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日本株は岸田氏に決まったところで大きく売られ、結局菅首相退陣に発する所謂政変ラリーの振り出しに戻りました。
米国株も米債務上限問題と中国リスクで売られ気味。
米国財政問題が悪化すれば金はもっと買われると想定していましたが、同時進行的にドル金利上昇が生じて上げが相殺された感があります。長期的には1700ドルという水準は歴史的高値圏にあるわけで、今はその高値水準の値固めの時期と見るべきでしょう。

筆者は年内にドル長期金利が2%に向けて上昇すると予想していますので短期的に金には弱気です。
しかし2022年に米財政問題が本当に悪化する時、そしてマネタリーインフレが現実味を帯びる時に金の本格上昇が再開されると見ます。
なお、為替市場は円安方向に転じたので、円建て金価格には上昇バイアスがかかるでしょう。

このような市場環境では金の短期売買は博打のようなもの。個人資産のストックとして金保有を増やしてゆくことが地味ですが最善の策と考えます。短期的金価格変動に一喜一憂する人も少なくないですが、静かに金を貯めている人の方が目立ちませんが多いことは確かですよ。一喜一憂する人は、そもそもこのブログも読まないでしょうね。日々の値動きを逐一レポートしませんから(笑)。金市場を取り巻く外部経済環境の方が遥かに大切なことだと思います。

話は変わりますが、中国人の友人と話をしていたら「スーパー老師」という表現が出てきました。中国のお受験熱で学習塾が大繁盛で最近は政府に規制までされているのですが、日本同様に塾の人気講師がいるのだそうです。20~30歳代の若いカリスマ講師を「スーパー老師」と言うそうです。「老」と言う言葉に尊敬の念が込められているのですね。個人教授で1時間教えてもらうだけで、なんと10万円相当の謝礼だとか。因みに有名校と同じ学区で例の恒大集団が建てたマンションには大幅なプレミアムがついたという話もあります。郊外の「村」に突如、有名校が建ち、近辺の掘っ立て小屋同然の空き家になんと4千万円の値がついたとか。日本でも「越境入学」という事例がありますが、中国は過熱していますね。結局富裕層の子息は良い学歴を取得して出世できるが、庶民には高根の花。こういう格差が庶民層に充満しているからこそ、習近平も「共同富裕」構想を打ち出したわけです。

なお、中国の商業銀行の貴金属部での筆者の肩書は「黄金分析師」。ゴールドアナリストの意味だけど、かなり怪しいですよね(笑)。

2021年