2021年6月28日
首題の見出しで記事が6月26日土曜日の日経新聞朝刊「グローバル市場面」に載り、筆者のコメントもあったので色々質問が寄せられた。
「自動車の排ガス浄化触媒などに欠かせないプラチナ(白金)。さぞ需要も伸びているだろうと思いきや、2021年には3年ぶりの供給超過になるとの意外な予測が出回る。その背景には日本人の地金投資の減少がちらつく。
英製錬大手ジョンソン・マッセイ(JM)によると、21年の世界の白金需給は19トンの供給超過になる見通し。新型コロナウイルス禍からの経済回復で供給や産業需要が伸びる一方、投資需要が減る。地域別で投資需要の減少幅が最も大きいのが日本。『ジャパニーズ・バー(日本人の地金)の買いが減る』。市場関係者はささやき合う。
日本は世界でも珍しく白金の地金投資が盛んだ。世界的には金に比べるとマイナーだが、宝飾品向けの人気も含めて『日本人は白金への憧れも強い』(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)。」
という記事だが、結局日本人は「逆張り」で、プラチナが安くなると買い、高くなると売りに徹している。所謂バーゲンハンター体質なのだ。
「バブル崩壊などの苦難を経て、現物資産を手元に置く需要が強い」ことが現物選好の高さの背景にある。基本的に買いなので、とにかく値が下がれば購入意欲が高まる。プラチナ価格は足元で金につられて急落後、調整局面にあるが長期的には強気に見ている。
さて、同じ土曜日に自宅からリモートで日経プラス9サタデーに生出演。
今後の相場展望のカギになる米金融政策、そして日本株予測を語った。
今後の米金融政策関係の展開をまとめたのがこのグラフ。
まずは、8月のジャクソンホール中央銀行フォーラムと9月FOMC(米連邦公開市場委員会)が転換点になりそう。株も金も調整局面からの上昇へ脱却のタイミング。
更に、日本株に関しては日銀が株ETF購入を続けた結果、今や日本株最大の株主になるという異常事態で、さすがに最近は市場介入を控え気味だ。日本株が脆弱な理由になっている。加えてワクチン接種の遅れ、五輪不安。これが過ぎる9月頃が日本株再浮上のキッカケになるとの予測を語った。
一般的にテレビ番組では金はマイナーな存在なので滅多に取り上げられることはない。金、史上最高値更新というような時に急遽特集が組まれるが、その時には相場の旬は過ぎている。
今はドル円も膠着で外為アナリストは仕事がなくて干上がっている状態。結局株の話がメインで、今回はその背景の債券市場の動きが話題になる。
筆者はマルチアセット志向で一貫してマクロ的な視点で株、ドル、債券、商品市場を俯瞰する姿勢。金もマクロ的視点なくば「井の中の蛙」状態になる。商品市場では中国の規制や金特有の話題性が語られるが、今は圧倒的にテーパリングが主因で動いている。この見極めが肝要だ。本欄読者にも常に現場を見る「虫の目」、市場の底流を見る「魚の目」、そして俯瞰する「鳥の目」の三つの複眼構造を養って欲しい。
最後に、週末は全米女子プロゴルフ選手権で「しぶこ」のドラマチックな展開にハラハラしつつ、最後は万歳(笑)。渋野日向子選手、予選通過まであと2ホールで3打足らずというギリギリの状況で、17番バーディー、18番イーグルの計3打で、劇的な予選ラウンド通過決定。ところがその晩にキャディーがPCR検査陽性判明。「しぶこ」まんじりともせず、明早朝のPCRで陰性確認により決勝ラウンド出場許可。しかし見ず知らずのキャディーゆえ距離計測は自分で行うことになり、その計測を間違え池ポチャ4発連発。パー3の1ホールだけで10打叩き、記者会見ではさすがに号泣。これで終わったと思ったところから、またもや渋野選手の奇跡のリベンジ攻撃が始まり、特に最終日は全選手中、当日スコア2位という完璧なゴルフを見せた。というわけで筆者も興奮状態になった。まさに相場の戦いと同じ。幾ばくかの運と持ち前の「何かを引き起こす天性」と、そして実力と。ディーラーにも必須の条件が揃っていたという次第。実はその最中にテレビ生出演したのでアドレナリンを抑えるのに苦労したよ。取りあえずバストアップだけはスーツ、ネクタイ姿で映るようにしたけど(笑)。