豊島逸夫の手帖

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金、1800ドル乗せ

2021年8月24日

久しぶりに国際金価格が動意づき1800ドル台まで反騰した(KITCOグラフ赤線参照)。

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理由は米経済指標。IHSマークイットが23日に発表した8月の米国の購買担当者景気指数(PMI)が前月から低下して、55.4と市場事前予測58.3も下回ったのだ。製造業、サービス業ともに前月比で下落となっている。背景としては、やはりデルタ株国内拡大の事例が増え、行動制限も強化され始めたことが消費者心理を冷え込ませ、企業経営も消極的傾向になったことが挙げられる。市場内には「やっぱり」という反応が目立つ。覚悟はしていたが米国経済減速傾向を示す経済指標の下振れとなったのだ。

まず反応したのが米債券市場。1.2%台で急落。
これを受け外為市場ではドル安。ドルインデックスは92台で下げた。
金利安、ドル安と金買いの条件は揃ったわけだ。

そこでまず動いたのは先安感から投機的に先物市場で金を売ってきた投機家たちだ。週末にはビッグイベントのジャクソンホール中央銀行フォーラムも控え、慌てて売りポジションの買い戻しに走った。既に米国先物金市場では売りポジションが積み上がっている。と言うことは潜在的な買いエネルギーが蓄積していたとも言える。
但し、1800ドル超えで買い戻しから新規買いが増えるかと言えばジャクソンホール前ゆえ慎重な姿勢だ。
そもそも債券外為市場も9月初めのレイバーデイを過ぎてからが本格的秋相場入りだ。まだ取引量は薄い時期である。

振り返れば8月の金価格はフラッシュクラッシュで、瞬間的には1700ドル割れまで暴落した後、1800ドルを回復したわけだ。行って来いのゼロサムゲームとなった。典型的な夏休み相場である。目先はまだ脆弱性が残る。織り込まれつつあるとは言えテーパリング(量的緩和縮小)はドル高・金安に振れやすい地合いだ。中長期強気、短期弱気のスタンスに変わりはない。

さて、たまたまラッシュアワーにJRに乗った。相変わらず混んでいる。改札口でディスタンスとって歩いていると、後ろから突き飛ばされそうになった。今や若い世代の感染が圧倒的に多いが、自らの過去を振り返っても、若い頃におとなしくしろと言われても、はいそうですかと従う世代ではないよね〔筆者が若い頃には反抗的との誹りを幾度受けたことか(笑)〕。多くの若者が知り合いとか周辺で感染者が出たという体験をしなければ「危機感を共有」はできないと思う。そこまで感染が拡大しないと若者心理は変わらないということだ。それを臨界点とすれば、まだ距離はあると感じる。これは日本に限らず世界的傾向だ。

2021年