豊島逸夫の手帖

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ワクチン、2回接種では不十分

2021年7月21日

今欧米市場が動揺しているのは、ワクチンを2回接種した人たちのインド型感染事例が増えてきたからです。日本では2回の接種が完了するのもまだまだ先のことですが、実はインド変異型対応のためには3回目の接種が検討され、今開発中ということです。

これまでは2回の接種でいよいよ経済再開。旅行にも外食にも行けると盛り上がっていた市場を落胆ムードが覆っています。
これで株式市場は一気に悲観ムードが支配的になりました。ワクチン接種楽観論が支配的でしたからね。
私も、えーー、残念ーーという気持ちです。

但し、2回の接種では全く効果なしということではありません。一定の効果は見込める。従来型のコロナウイルスに対して90%以上の確率で有効ですが、インド型には60%程度というのがイスラエルの検証結果です。世界で最もワクチン接種が進んでいたイスラエルで感染が再拡大しています。

その結果、経済回復が「遅れる」ということで、「見込めない」ということではありません。米国では9月には通常の日々に戻ると見られていましたが、12月から来年にずれこむ可能性が意識されています。ホワイトハウスのスタッフで2回の接種でも感染事例が出始めたのでバイデン政権も困惑しています。国民向けには「大丈夫、問題ない」と強気のスタンスですが、バイデン大統領の次の一手に注目です。

対して、我が日本はモデルナ追加供給が来年初頭に目途とのこと。
突然ワクチン供給が打ち切られて、1回目の接種を済ませた人が2回目の接種を受けられなくなる事態が増えそうです。これは困りますね。1回目から3週間おいて2回目の接種で効果が出始めるわけですが、その間隔が長く空いてしまうと効果は落ちるというのが医療専門家たちの意見です。

マーケットは新たな「ワクチン相場」となりそう。1回目のワクチン相場はこれでコロナ克服という期待感。2回目のワクチン相場は3回目(ブースターと呼ばれます)の開発・接種がいつになるか。それぞれテーマが異なります。

これで市場がリスク回避ムードになると、金が買われやすい環境になります。
でも、私はこんな理由で金が上がっても嬉しくありません。

市場には閉塞感が満ちていますが、これを打破できるのは日本人選手のゴールドメダルラッシュですかね。ゴールドの威力に期待します。

2021年