2021年5月21日
「東京がウイルスエマージェンシー(緊急事態)を強化。五輪開催反対論強まる」
「日本の医師たちが五輪中止を要求」
米国経済テレビはテロップでこのように日本のウイルス感染拡大を報道している。
早速ニューヨーク市場のヘッジファンドや年金運用関係者たちからは「東京五輪開催強行か、中止か」との質問が飛んできた。
緊急事態を英訳すればエマージェンシーとなるが、これは「戒厳令」を想起させる強い表現だ。日本型「自粛要請」とはかなり異なるニュアンスである。日本側の五輪選手への検査・行動制限などを説明したが欧米の価値基準では「緩すぎる」。
「誓約書に署名しても六本木に繰り出す輩は出てくる」などのコメントが聞かれた。
基本的に性悪説に基づくので日本型性善説との温度差が鮮明だ。ズームで詳細に議論したが、年金など長期マネー派は五輪が中止されて国内感染拡大が抑制され、周回遅れながらワクチン接種が進むことを日本株購入の条件とする。その場合バリュエーションで見ても既にワクチン接種を織り込んだ米国株より割安で魅力的と映る。
一方、五輪が強行開催のシナリオならば、感染拡大リスクによる日本経済マイナス成長長期化リスクが生じるので、日本株の優先順位は後回しとなる。
なお、ヘッジファンドなど短期マネーも五輪中止なら日本株買い。五輪開催なら日本株売りの姿勢である。但し短期売買なので五輪を挟み日本株のボラティリティーは高くなるが、基本的にはゼロサムゲームである。
なお、日銀がETF購入を減らしつつあることは「日本株正常化」として特に長期保有派からは評価されている。対して短期投機筋は日銀依存症が顕著な日本株市場のボラティリティーが高まる要因として興味を示している。これまでは日銀介入により日経平均が例えば4000円ほどは嵩上げされているとの認識が見られた。それゆえ日本株の日銀離れ傾向が強まればヘッジファンドによる先物思惑売買は増えそうだ。
金関連の話題は依然インフレ。今のインフレ傾向が一時的か否か市場の見解は割れ、短期的に金価格を2000ドルに押し上げるほどのインパクトには欠ける。長期構造的ディスインフレ傾向はそう簡単に変わる話ではない。年後半にこのインフレの話はより切迫感を持ち、金市場を押し上げることになろう。
さて、ワクチン接種予約。自分でやってみて制度の難しさも分かってきた。例えば2回接種だが1回目の接種予約を取る時点で2回目の予約も同時に入れるシステムの区もある。しかし予定枠が分刻みで埋まってゆくので1回目後、2回目までの間隔が6週間も空いてしまうケースもある。それだけ空くとワクチン効果は95%から75%に減少する。対して1回目接種終えた時点で2回目の予約を取らせる区もある。いずれにせよネットに不慣れな人にはかなり難しい作業となろう。接種状況は地方部より都市部での遅れが目立つ。地方の友人たちはもう接種済だが都市部の連中は予約がこれからという状況だ。個人的には世界的に例がないほど全国至る所に病院・診療所がある国ゆえ、かかりつけ医での接種が有効だと感じている。