豊島逸夫の手帖

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日本株急騰、外国人投資家、次期総理より日銀総裁を注視

2021年9月7日

まず、金価格については「金、2カ月半ぶり高値 緩和縮小の遅れ見込む」との見出しで、本日の日経新聞朝刊「グローバル市場」面の記事に書かれているとおりの展開。最近は金関連記事がグローバル市場面に載ることが増えた。

さて、市場の話題は日本の政変、日経平均3万円超え。
レイバーデイの3連休が終わると、NY市場はいよいよ夏の休暇相場から9月秋相場に本格突入する。
その直前に勃発した日本の政局急変は材料視されていない。メディア報道も国際面3番手、4番手記事程度の扱いだ。歴史的豪雨やアフガン情勢で「それどころではない」という受け止め方である。

総理が変わっても、ロックダウンが法制化されていない日本で画期的なコロナ対策は期待薄とされる。結局「毎年、総理が変わる」時代に逆戻りではないかと冷ややかな見方が多い。

ウォール街の知日派からはこのようなコメントもあった。
「ミスタースガは野球に例えれば中継ぎ投手であることは当初から理解している。次の首相に期待されるのは、まずはコロナを終息方向に導くクローザー役だ。更に日本経済を新たな成長軌道に乗せる先発型の首相も必要となろう。複数回の首相選出が必要だ。」

一方、既に日本株を長期保有している、或いは今後長期保有を検討している年金基金などの外国人投資家から発せられる質問は、総裁人事よりポストクロダ関連が目立つ。中央銀行という「物言わぬ株主」による株の大量購入は欧米市場では特に不評ゆえ、その出口が話題になる。日銀保有株の後始末はいかに?次期総裁に先送りされるのか。次期総裁候補はやはりリフレ派か?など興味津々の様子だ。

一部海外経済メディアでは「タカイチ、コウノ、キシダ」氏などの実名が報道されたので、候補者たちの対中強硬姿勢にも興味が示される。

対して短期投機筋には「選挙は買い」で動意づく日本株が、秋相場入りにあたり格好の草刈り場に映る。NY市場が3連休の「鬼の居ぬ間に」どこまで買い上げるつもりかじっくり見極める姿勢だ。日経平均が3万円に接近すれば売りとの観測も流れる。日銀ETF購入で、日経平均は4000円程度嵩上げされているなどの試算が流布されているからだ。

ボラティリティー(価格変動性)があれば、日本株でも米国債でもビットコインと同列に置き、貪欲に売買する短期投機マネーは「招かれざる客」だが、その動きを無視することもできない。日本株の秋相場は個人投資家のリスク耐性を試す展開となりそうだ。

2021年