豊島逸夫の手帖

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オミクロン・ショック、金市場は複雑な反応

2021年11月29日

金曜日に第一報を速報で書いてから、国際金価格はそれほど大きく動いていない。短期的乱高下はあったが、結局1790ドル台で引けている。

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結局、オミクロン・ショックが深刻になり、経済を冷やすようになれば、インフレ懸念は鎮静化しよう。これは金市場に逆風。一方、金融政策面では利上げどころではなくなる。逆に緩和へ逆戻りするかもしれない。これは金利を生まない金には追い風。この綱引き状態なので、金価格は方向感が出ないのだ。

なお、債券を持っていても目減りする状況なので、実物資産の金は買われやすい環境が続く。大崩れはしないだろう。
これを専門的にまとめるとこうなる。
市場のインフレ期待を映すブレークイーブンインフレ率(10年)は2.7%程度まで急上昇していたが、2.4%台まで急落した。
一方、2022年6月までに1回以上の利上げを見込む確率が82.1%から43.7%まで激減した。
なお、実質金利(10年)はマイナス幅を拡大。0.97%から1.07%へ。この実質金利低下は中長期的に金価格には追い風となる。

とにかくオミクロンは絶対的に情報が足りない。
まだ今後要経過観察の段階だ。

2021年