2021年4月13日
ドル金利急騰で1-3月期は金が売られ、金ETFからは1兆円近く流出したと今朝の日経新聞朝刊商品面に詳細に報道されている。
このように金額表示すると改めてかなりのマネーが出ていったという感じを受ける。
なお、この統計で注意すべきは金ETF残高という数字の意味合い。
結論から言うと金ETF市場の氷山の一角に過ぎない統計だ。
そもそも金ETF市場では連日世界中で大量の金売買が行われる。その売りと買いの数字(フロー)を差し引いたネットの数字が流出・流入量となる。残高とはあくまで(フローに対して)ストックの統計なのだ。
更に金ETFを短期で売買する人も長期で保有する人もいる。これらの質的変化は把握しきれない。
例えば今の状況で短期志向の投資家は売りに回るが、長期志向の投資家は底値圏と見て買いに入っているかもしれない。この場合ストックとして見ると、金ETF残高は減っていても短期保有が減り、長期保有が増えて、需要構造が堅固になっているプロセスと考えられる。そもそも金ETFは年金が金保有する場合のツールとして開発された経緯もある。
今後の金ETF残高の見通しだが、昨年安値で買い損ね、後手に回って儲け損なったと感じている個人投資家は多い。昨年安値で買って大儲けした投資家もいる。
今後、昨年買いが出遅れたと悔いている人も、昨年儲かって夢をもう一度と再参入する人も増えてゆくだろう。
金ETFからのマネー流出は1-6月期がピークで、年後半、早い時期にマネー流入に転換してゆくと見る。
なお、年金の金ETF保有は長期ゆえ、この程度の値動きで売り買いするような市場参加者ではない。事業法人でも短期の値動きには関係なく毎月500万円ずつ金ETFを買い増してゆく事例もある。
さて、昨日は松山フィーバーに陶酔して仕事へと社会復帰(笑)したのは昨日深夜のNY市場から。
そこでNY市場を見ると半導体とワクチンの奪い合い競争が目につく。
世界的な半導体不足で自動車製造が一時的停止に追い込まれる事態も。そこで米国は対中国を意識して自国内で生産増に動いている。昨日はバイデン大統領により関連企業トップを招いて「米国半導体製造復権サミット」が開催された。円換算で5兆円の半導体関連予算も計上している。
そして株価と外為相場はワクチン接種が早い国が買われ、遅い国は売られる展開に。ワクチン普及を映す展開だ。
更に「変異種相場」の様相も。
パウエルFRB議長も米国民に「ワクチンで慢心するな。変異種を注視している。」と述べた。金融政策も変異種次第のようだ。因みにミシガン州はワクチン接種より変異種感染スピードの方が速く、新規感染が最悪の状況で、米CDCは同州に「地域封鎖」を勧告している。ワクチンが最も早く普及しつつある米国でもまだまだこの程度。ワクチン接種で周回遅れの日本は五輪開催が外国からの変異種侵入の機会になるのは必至だ。政府の読みは甘すぎる。