豊島逸夫の手帖

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オミクロン株に楽観的な市場  

2021年1223

オミクロン変異ウイルスの出現に対して当初は極めて警戒的であったが、今やNY市場は楽観に転じた。株価も急落後、急反騰を演じている。

その間米国内のコロナ感染は僅か1週間で70%がオミクロンに置き換わった。国内の行動制限も厳しくなっている。しかしデルタ型に比し症状が相対的に軽微なため、市場は入院者数、重症者数、死者数は低位に留まる傾向を根拠に経済的には何とか切り抜けられると見ている。

とは言え、まだデータ数も限定的ゆえ予断は許さない。
筆者は市場の楽観をリスクと見ている。
重篤な症例が相対的に少ないが感染力は極めて強く感染者数は激増中だ。まずは医療従事者の感染による医療逼迫が危惧される。
症状が軽い患者たちも隔離を強いられ労働者不足は更に厳しくなろう。サプライチェーンの混乱もピークを過ぎたと思われた直後にオミクロンが拡大したことで再び悪化しそうだ。

しかも米国経済の場合にはFRBが緩和縮小に転じ財政出動も民主党の内紛で縮小されそうだ。そのタイミングでオミクロンが拡大している。パウエルFRB議長もオミクロン感染拡大で供給網混乱、人手不足が悪化して、供給サイドからのインフレ傾向が更に強まるので利上げを強行しそうだ。オミクロン下の利上げは景況感悪化を招きやすいので、その場合金は買われやすいと見ている。それでも2000ドル突破とはならず、1900ドル程度と見る。

一方、パウエルFRB議長がこの混乱期を適切な金融政策運営で乗り切れば、マクロ経済は暑すぎず冷たすぎず、適温状態のゴールディロックスを迎え、ヘッジ役としての金の出番は減るだろう。その場合は金価格が1700ドル割れ程度に下がると見る。
いずれにしても金が歴史的高値圏に留まる状況に変わりはない。

中長期的な視点ではコロナによる死者数をどの程度まで容認するか。オミクロン程度であればパンデミックではなく、季節的な伝染病と位置付けロックダウンはせず、経済的ダメージを最小限に抑えるというシナリオもある。コロナウイルスが絶滅することは考えられず、どのような形で人類はコロナに対応してゆくのか議論されることになろう。

さて、日本でも京都で市中感染事例が発表された。筆者も冬の第6波を想定して京都などで食べ歩いてきたが、そろそろ我慢の時期に逆戻りとなりそう。写真は北近江は長浜の鴨鍋。古い料理旅館の「千茂登」。セリやネギもシャキシャキで甘味もあり旨い。

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12月の鴨はまだ若い。1月くらいがベストかな。2月になると脂のり過ぎの感もある。そしてらく山の明石のアナゴの昆布巻き。3日かけて作るので昆布はトロトロの食感。

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2021年