豊島逸夫の手帖

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米国でも初のオミクロン株感染者、NY市場に衝撃

2021年12月2日

カリフォルニア州で1名のオミクロン株感染者が出た。この第一報で、それまで前日比500ドル以上上昇していたダウ平均株価が、みるみる下がり前日比500ドル以上下落の水準になってしまった。
一人の感染者情報がダウを1000ドル近く動かしたわけだ。
今のマーケットが未知の敵、オミクロン株に対して、どれだけ警戒しているか。その実態が分かる局面であった。
そこで金が安全資産として買われるかと思えば、1780ドル台で大きくは動かず。

仮に、オミクロン株が米国内に拡散して行動制限が再開されれば、更にサプライチェーン混乱が悪化して企業のコストアップ要因となり、労働者は感染を嫌うので人手不足が生じ、賃金を引き上げて求人しなければならない。これがコロナ時代の新型インフレの特徴だ。2日間に亘ったパウエルFRB議長の上院議会証言で繰り返し語られたことでもある。パウエル氏はこの理由でテーパリングを2~3か月早めて終了させ、次の段階である利上げを、急ぎインフレを封じ込める姿勢として明確に示したばかりだ。そのパウエル発言の直後にオミクロン株、米国内初の感染のニュースが流れたので、利上げを天敵とする金市場は動けなくなっている。
片や利上げ懸念、片や新型インフレ懸念。前者を重く見れば金利を生まない金は売り。後者を重視すればインフレに強い金は買い。この相反するふたつの材料が金市場で交錯して動きが取れないのだ。
円相場も日々のドル金利に翻弄されて、円高の日もあれば円安の日もある。方向感が定まらない。

こんな時は勝手に「休むも相場」と思い切り、昼の時間帯はゴルフへ。帰宅して夜の部はNY市場に釘付け。メリハリを付けてワーク・ライフ・バランスを実行しているよ。個人事務所ならではの醍醐味(笑)。

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2021年