豊島逸夫の手帖

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バフェット氏、金鉱株、見切り売却

2021年2月25日

SEC(米国証券取引委員会)への四半期ごとの保有株式銘柄情報開示の最新版で、バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ社が半年前に購入して話題になった大手金鉱山バリック社株を早くも6か月で売却していたことが明らかになった。
長期保有に徹するバフェット氏としては異例の短期売買だ。

そもそもバフェット氏は金嫌いで通っている。
「金なんて輝くだけで何も生み出さないし役にも立たない。」と公言してきた。それだけにバリック株購入が明らかになった時には、あのバフェット氏も金投資かと話題になった。
しかし、やはり同氏は好んで金鉱株を買ったわけではないようだ。
金は好き嫌いがはっきり出る商品だ。
好きな人は惚れ込むが、嫌いな人に何を言ってもアレルギー反応は消えない。
バフェット氏の信条は、投資とはおカネに働いてもらって、配当金や利息を生み出すもの。金におカネを入れても、再投資されないから死に金になるという考えだ。

筆者も金は投資というより保険に近いと位置付けている。
何も生み出さないが、マイナス名目金利、マイナス実質金利が常態化すると、そもそも何も生まないということが金に限らず新常態になってきている。
それよりリスク資産に投資する際のヘッジとして金を購入保有する意義があるとの見解だ。特に量的緩和で貨幣価値が希薄化してゆく中で、独自の希少価値を持つ金の存在感が高まっている。

バフェット氏が「金を買った」と言っても金鉱山の株式だ。これは金投資というより株式投資の範疇になる。鉱山会社経営陣のマネジメントスキル(経営手腕)により株価は大きく変動する。金価格が上昇しても、金鉱山会社の子会社がテーマパーク経営に手を広げ、結局大損したという事例もあった。
バフェット氏は根っからの金嫌いゆえ、金そのものを買うまでの決心はできなかったと推察する次第。

さて、今日は読売新聞に寄稿。金初心者向け原稿。
これは読売新聞オンラインだけれど、本紙朝刊にも別の寄稿文あり。

https://yab.yomiuri.co.jp/topics/5709/

2021年