豊島逸夫の手帖

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NY金、一時9カ月ぶり低水準

2021年3月4日

昨晩は国際金価格が1700ドルの大台寸前まで下落する場面がありました。

以下は昨日の日経電子版に流れた記事の抜粋です。

金価格と逆相関する傾向が強い米実質金利は2月中旬ごろまでマイナス1%台で推移してきたが、2月下旬にかけて急上昇し、足元でマイナス0.7%台まで浮上した。実質金利のマイナス幅の拡大はお金の実質的な価値の目減りを示し、現金から金を含む実物資産全般への投資を招きやすい。逆にマイナス幅が縮小すれば、こうした取引が逆回転するきっかけとなる。
主要銘柄のSPDRゴールド・シェアの運用残高は3月2日時点で602億ドルと、昨年末比で109億ドル(15%)の資金が流出した。ETFを通じた投資マネーの相場への短期的な影響力は強く、資金流出に歯止めがかからない中では相場低迷が続く可能性が高い。マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「金相場は1650ドル前後まで低下する可能性がある」と指摘する。

以上

と、まぁ1650ドルを短期的には見込んでいますが、「今は底値圏。年後半上昇へ」という部分は記事にはなりませんでした。
記事全文は以下のURL

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ033AK0T00C21A3000000/

なお、株も急落。今日の日経平均は午前で500円近い下げ。
金利が上がると株も売られる。
なぜか。
例えば、ある企業が10年後に100億円の収益が見込まれるとしましょう。
問題は10年後の100億円って現時点に換算すると幾らになるのか。
ここでは10年間に見込まれる金利収入分を差し引いて考えねばなりません。
金利が高ければ、その分10年後の100億円の現時点での価値は少なくなるのです。
つまり現在の株の価値は落ちるということ。
更に株の投資家にとって配当収入も大事です。
株価と配当の比率が金利より高ければ、株の方が債券より有利になります。
しかし今は金利が上がっているので、配当比率が変わらないと株の方が不利になってしまうのです。
このような思考で考える株投資家にとって、何も生まない金は「異端の資産」に見えるわけです。
特にバフェット氏がその典型。逆に株や債券に懐疑的なジム・ロジャーズ氏は金を重視しています。
金が下がり出すと、金懐疑派の声量も上がってくるものです。
「金の輝き失せた」
このような見出しが出始めると、長期的には底値圏で買い時だと思います。
逆に一般メディアまでが「金高騰」と騒ぎ始めると、プロの視点では「ヤバイ!」。
これ、私、40年間、同じ事、言い続けています(笑)。
金価格の歴史は、これが正しいことを証明しています。

2021年