豊島逸夫の手帖

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中国共産党支配下の中国人民銀行、苦肉の利下げ

2021年12月24日

世界の主要中央銀行が利上げに走る中で中国人民銀行は1年8か月ぶりに利下げ。0.05%と小幅に抑えたところに「苦渋の決断」が透ける。

このタイミングでの金融緩和は不動産バブルを封じ込める様々な規制措置に逆行する。不動産関連セクターがGDPの25%を超える中国では不動産市場を生かさず殺さずの微妙な舵取りが不可欠だ。

恒大集団の社債が格付け機関から「部分デフォルト」に認定された直後でもある。この時期の金融緩和は巨大不動産集団のステルス救済の誹りも受けかねず「共同富裕」構想にも反する。

更に、二酸化炭素排出削減目標を明示したが電力不足により火力発電への負荷は重くなり、結局石炭生産と需要は増えている。「スモッグのない青空」を維持するための経済活動縮小という副作用とオミクロン徹底抑え込みによる経済減速の下支えの両立は基本的に無理筋だ。

かくして、様々な条件を勘案した上で小幅ながらも利下げに踏み込んだと見られる。
市場の視点では小幅の利下げゆえ政策効果を実感できない。逆に危うい綱渡りを強いられる中国人民銀行のリスクが意識される。

なお、最近は中国人民銀行への中国共産党の直接的介入が強まっている。そもそも中国には中央銀行の政治的独立などあり得ない。既に中国共産党の意向に反した中国人民銀行幹部の罷免の事例などが上海の銀行界では語られている。

今回の利上げは習近平政権の抱えるジレンマを浮き彫りにした。

今日の写真は、すっぽん(マル鍋)@らく山。

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しばれる冬の夜に沸々と熱いマル鍋。冷えたカラダに沁みる。。。
すっぽん尽くしのコースは飽きる。色々な品々のコースの中の一品で供されるマルが良い。
すっぽんクリスマスもなかなかのものだよ(笑)。

2021年