豊島逸夫の手帖

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過剰流動性の臨界点メルトダウンは

2021年4月8日

今年に入って本欄では、まず「米国投資家交流サイト・レディットで結束した個人投資家集団がヘッジファンドを締め上げ勝利した話」や、今回は「韓国系米国人の元カリスマ、現問題児が世界の大手金融機関経由で大博打打って潰れた話」を連日詳細に伝えました。

複雑な金融商品(デリバティブ)も絡み、一般読者には馴染みも薄く分かりにくい話です。それでも連日書き続けたのは何ともいやーな気がしているからです。

コロナだというのに世界中こんなにおカネが有り余り、願わくは今後コロナが収束しても借金の山は残る。決して良いエンディングにはならないと思っています。インフレ、デフレのどちらもあり得ます。最悪はスタグネーション。その過程でレディットとかアルケゴスとか想定できない事態が勃発したわけです。カネ余りがもたらした現象というか警鐘と受け止めています。2~3年後にはこれが「有事」となり、市場ではおおごとになると感じているので、分かりにくい話でも執拗に書いてきたわけです。

トラウマもあります。
リーマンショック直前にサブプライムという怪しげな新商品について、当時日本では最初の部類でしたが私は色々書きました。しかし読者の多くは横文字で分かりにくい話として軽視していました。プロの世界でも豊島は騒いでいるが一過性、局所的な出来事と切り捨てていました。「豊島さんが煽っている」とも言われました。

そういう苦い経験があればこそ、今回は何を言われても書き続けようと思っています。リーマンショックとは別の形態の新金融リスクがウイルスとともに世界に拡散しているからです。レディットもアルケゴスもその兆しと見ています。後世の歴史教科書にはレディットやアルケゴスという前兆の後に、経済ショックの本震が来たと詳述されるかもしれません。コロナ変異種のリスクには目をつぶって史上最高値を更新する米国株などもその兆しでしょう。株価は経済の実体とあまりにかけ離れています。金価格も下がったとは言え歴史的高値圏に留まっていることも示唆的です。1700ドル台なんて2~3年前だったら夢みたいな価格帯でしたが、今や「底値圏」ですものね(私は5年前から予告してましたが殆ど信じている人はいませんでした)。

「金を通して世界を読む」
これが私の一貫した姿勢です。

さて、今年は異常に早く京都から筍が来ました。

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今年は異常気象でやや不作だそうですが、やっぱり京都の筍は味が各段に違う。旨い。そして筍が白くて綺麗。早速おうちごはんで筍飯、筍スパゲティー、もちろんシンプルに茹で筍(新鮮)。3食筍でも飽きません。産地の「大原野」は観光人気スポット「大原」ではなく、西京区にある一大筍産地。祇園の「らく山」にもすっかりご無沙汰だけど、あそこの大将が茹でた筍は熱の通し方が抜群なのだよ。芸術品の水準だね、あれは。

2021年