豊島逸夫の手帖

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FOMC後、金価格上昇

2021年7月30日

FOMCでの緩和縮小に慎重な姿勢に反応して、米債券市場では10年債利回りは依然低位の1.2%台、外為市場ではドルインデックスが92台から91台へ若干ドル安。結果的に金は1830ドル(KITCOグラフ緑線参照)。
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FOMC後の金安を見込んだ投機筋の空売りの買い戻しが主体。ここから新規買いが入るか。市場では8月ジャクソンホールが視野に入る。緩和縮小に関しては年末から来年初めの時期に開始されよう。但し毎月少量からじっくり時間をかけて。量的緩和縮小の次に控えるのが利上げだがこれは早くて2022年。ここはずばりインド型変異ウイルス次第だね。パウエルさんもお手上げで読めないことを認めざるを得ない。

そして中期的には想定通り米財政政策が材料視され始めた。バイデン政権がこれだけ派手にばら撒きをやって、共和党は財源としての増税には大反対。結局ばら撒きっぱなしという所謂「インフレ政策」により、公的借金の実質価値を減じるほかあるまい。但しこの財政赤字要因は影響が浸透するのに時間がかかる。2022年米国中間選挙にかけて問題化しそうだ。筆者は年内にも米財政赤字が材料視されると読んでいたが市場が財政規律の緩みに慣れてしまっている。更に政府の資金調達コストもゼロ金利政策ゆえ安く済む。借金が金利負担で雪だるま式に増えるという構図ではない。但し借金は消えないから、どこかで臨界点を迎えることになる。
ゆえに筆者は中長期的に金には依然強気。但し短期的な予測を聞かれれば弱気に傾いている。

FOMCに関して重要な点は金融緩和から金融引き締めに時間をかけて移行してゆくということ。ゼロ金利からプラス金利になるがせいぜい2%程度か。低金利状態に変わりはない。米国の物価上昇が瞬間風速で5%超えとなると明らかに資産価値は目減りしてしまう。マネーサプライ(おカネの供給量)も徐々に減らしてゆくが、とんでもない量をばら撒いたので、マネー残高は依然歴史的高水準が続く。
ドル、円、ユーロは刷れるが金は刷れないという点が依然重要だ。

さて、日本の感染者数も一日1万人超え。
五輪ゴールドメダルラッシュの宴が終わると現実に戻ることになる。覚悟せねばなるまい。

話は変わるが、最近どうにも気になるのが何でも「させていただく」の乱発。政治家から若者まで年代を問わず。入学試験に敬語や謙譲語の問題を増やした方がいいじゃないの?「メダルの感動で泣かせていただきました」、「。。。と思わさせていただきます(語尾上げ)」、「。。。みたいな(これまた語尾上げ)」。。。
ええ加減にせんかいとテレビの前で憤っている。否、憤らさせていただきました~~~。

2021年