豊島逸夫の手帖

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銀メダルで謝罪する日本人選手の姿

2021年8月6日

金メダルを有力視されていた日本人選手が銀メダルに終わると「皆さんの期待に応えることができず、申し訳ありません。」と語り、記者会見で号泣したりする。なぜか。
NYタイムズ紙の記事が日本人の特性として扱っている。
大坂なおみ選手でさえ日本語の声明文で期待に応えられず残念だと述べた。
対して米国人選手なら、負けても自分がどれだけ強いかを主張するだろうとも書いている。

更に、日本では企業幹部が不祥事について謝罪して深々と頭を下げる光景も異様に映る。
これは日米の文化的違いとしか言いようがない。
筆者は同僚の多くが欧米人という職場環境で育ったので、自らの失敗を認めるようではライバルたちにつけ込まれるだけという感覚を持っていた。ところが日本の企業文化では「謝ることを知らない奴」という評価になる。家庭内でも「お父さんは間違えても謝らない」と厳しく糾弾されたものだ(笑)。
投資の世界では基本的に損しても自己責任だ。詐欺的行為があったにせよ、プロなら「甘い」と言われ、「騙される方が悪い」如き扱いを受ける。

とは言え、リーマンショックを境に欧米大手金融機関の内部ではリスク管理が厳格化され、ディーラーの個人プレーは許されない。アービトラージ(裁定取引)をチームプレーで実行することが基本になっている。コンプライアンス(規定順守)が重要視され、CEOもCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)には頭が上がらないという状況が珍しくない。

話はオリンピックに戻るが、筆者が奇異に感じるのは欧米選手たちがポイントゲットするたびにハグする傾向だ。特にコロナ禍なのに男性選手たちがいちいち抱き合って喜びを表現している。
実は筆者も未だに苦手なことが欧米流の儀礼的なハグや軽いキスを自然な振る舞いとすることだ(苦笑)。一般的にこれをカッコよくこなせる日本人は少ない。どうもぎこちない。

一方、筆者はゴルフの1番ホールでティーショット打つ前に「お願いしまーす」とペコリとお辞儀をすることを叩きこまれた。これが外国人の友人たちには時に奇異に映り、或いは日本人らしいマナーと感心されることもある。
その挙句にいきなりティーショットでチョロを打ったりすると、これはまさに「恥」そのものだ(笑)。

2021年